子どもたちを水着に着替えさせるのは、何度やっても大騒ぎだ。
トイレは行ったね?帽子は持った?ほら、パンツは投げない!バスタオルを引きずってるよ!あれれ?何で泣いているの?あ〜っ待った〜!まだプールに行っちゃダメ〜〜〜!
更衣室に響く先生たちの悲鳴に似た声と言ったら、夏の午後5時21分ごろのカラス並みだ。
知的障害児の男女比は、およそ4:1で、圧倒的に男児が多い。
たんぽぽ学級も見事にこの比率で、男児が7人、女児が2人だ。
そこにスミレが入っても、江夏先生とマリアンヌが着替えさせるのは3人。
大岡先生と田端さんは、すでにシャワーを浴びたかのように汗をかきながらようやく7人の着替えを終わらせた。
低学年の男児なら女性の先生が着替えさせることも許されるのだろうが、松葉が丘小学校では同性介助が徹底されていた。
先進的な学校と言える。
低学年の男児なら女性の先生が着替えさせることも許されるのだろうが、松葉が丘小学校では同性介助が徹底されていた。
先進的な学校と言える。
子どもたちが教室から転がしてきたバランスボールは、きれいにプールサイドに並べられている。隣には、黄色いメガホンもたくさん置いてある。
全員でイチ・ニ・サン・シと準備体操をする。
前日ポンプを踏みながら何度も数えたせいだろうか、今日はいつもの何倍も子どもたちの声が大きいなと、大岡先生は気が付いた。
足洗い槽、腰洗い槽と通ってシャワーを浴び、もう一度プールサイドに並んだ。
前日ポンプを踏みながら何度も数えたせいだろうか、今日はいつもの何倍も子どもたちの声が大きいなと、大岡先生は気が付いた。
足洗い槽、腰洗い槽と通ってシャワーを浴び、もう一度プールサイドに並んだ。
子どもたちは、すぐにも水に入れるものと思っている。
多動なひろしなどは、今にも飛び込みそうだ。
いつもの水泳授業では、必ずどこかの学年が一緒にいる。
たんぽぽの子どもたちは無秩序に動き回るので、水泳授業となると教員3人では安全が確保しきれない。
そこで、他の学年と一緒にいることで、水面監視などを手伝ってもらうのだ。
多動なひろしなどは、今にも飛び込みそうだ。
いつもの水泳授業では、必ずどこかの学年が一緒にいる。
たんぽぽの子どもたちは無秩序に動き回るので、水泳授業となると教員3人では安全が確保しきれない。
そこで、他の学年と一緒にいることで、水面監視などを手伝ってもらうのだ。
子どもにもよるが、知的障害を持った子どもたちは、なぜか非常に水を好む。
顔に水が飛ぶのが怖いという子でも、プールは好きだと言ったりする。
かっこいい泳ぎではないが、ざぶんざぶんと泳ぐ子もいる。
口の中に思い切りたくさんの水を含んで、マーライオンのように吹き出すのを楽しみにしている子もいる。
でも、他の学年と一緒の時は、たんぽぽの子どもたちが使える部分も限られてくる。
必ず足がつく浅い方を1レーン仕切って、その仕切りの中だけで動くのだ。
この日は、マリアンヌが増えたことで、たんぽぽ単独での水泳授業となった。
広々としたプールを独占できるらしいと知った子どもたちは、いつタガを外そうかと、手ぐすね引いて待っている状態だった。
でも、他の学年と一緒の時は、たんぽぽの子どもたちが使える部分も限られてくる。
必ず足がつく浅い方を1レーン仕切って、その仕切りの中だけで動くのだ。
この日は、マリアンヌが増えたことで、たんぽぽ単独での水泳授業となった。
広々としたプールを独占できるらしいと知った子どもたちは、いつタガを外そうかと、手ぐすね引いて待っている状態だった。
見上げれば、真っ青な夏空には雲ひとつない。
屋外プールのプールサイドにはギラギラと日が差して、水滴がついた子どもたちの肩を焼いていく。
それでも安曇野の秋らしく、グランドとプールを分けるフェンスには、赤とんぼがとまっていた。
それでも安曇野の秋らしく、グランドとプールを分けるフェンスには、赤とんぼがとまっていた。
先生たちは3人ずつ子どもを掌握しながら、飛び込み台の脇に立っているマリアンヌを見るように言った。
マリアンヌが羽織っていたTシャツを脱ぐ。
ほっそりした体を包んでいたのは、競泳用の水着だった。
子どもたちに向かって手を振ると、黙って飛び込み台に上がった。
と、スッとマリアンヌが水に飛び込んだ。水しぶきも、派手な着水音も立てずに、マリアンヌの身体は一度水中に隠れた。
頭が見えたかと思ったら、ひらり、ひらりと平泳ぎであっという間に25メートルプールのはじに着いた。
くるりとターンすると、今度は背泳ぎだ。子どもたちは黙ってマリアンヌが泳ぐ姿を見ている。
子どもたちの前を行きすぎてスタート地点に戻ると、もう一度ターンして、今度はバタフライで進みだした。
子どもたちには、マリアンヌの身体のどこがどう動いているのか、よくわからない。
子どもたちには、マリアンヌの身体のどこがどう動いているのか、よくわからない。
最後のターンのあとは、クロールだった。水中を細い腕が普段の倍ほども長く伸びていくように見える。
3回ほど息継ぎをしただけで泳ぎきると、飛び込み台の下に立ちあがった。
あっという間の出来事だった。
両手で顔の水をはらうと、マリアンヌは笑顔でまた子どもたちに手を振った。
3回ほど息継ぎをしただけで泳ぎきると、飛び込み台の下に立ちあがった。
あっという間の出来事だった。
両手で顔の水をはらうと、マリアンヌは笑顔でまた子どもたちに手を振った。
息を飲んで見守っていた子どもたちから、わぁっ!という歓声とともに拍手が響く。
かっこいい!すごい!
コメント
コメント一覧 (6)
「できるようになりたい!」
の芽が 出てきたら…
それが 一番
何かを 身につけていく時の
強みに なりますね
"ゲーム買ってあげる"
の 誘惑以上にね
子どもたちの励みになりそうです
知的障害児の男女比は、目からうろこでした
そういえば知っている知的障害児に女児を思い当りません
何かメカニズムがあるのでしょうね
だって、明後日の更新に使うんですもの!
珍しく、予約投稿するのですよ、今回は(飲み会)笑
久しぶりにシンクロしましたね。
水が好きなのは、胎内の記憶なんでしょうか。
私は水着に着替えるのがキライ(笑)
おっしゃるとおりですよねぇ。
自分から「やりたい!」と思ってもらうためのしかけは本当に大切。
授業の最初に「わぁ、何それ!やってみたい!」と言われ、
終わりに「うそぉ、もう終わっちゃうの?」と言われたら、
その授業は間違いなく成功ですね。
やりたいことができる楽しさは、ゲームの誘惑よりも強いと信じたいです。
「男」という遺伝子は、きっと繊細なのでしょう。
「女の子の方が育てやすい」という言い方を耳にしますが、
同じことを別の表現で言っているものと思われます。
障害を持った子どもたちは男児が多いのに、
先生は圧倒的に女性が多いのが実情です。
なんとかならないものか…。
おや、マーライオン、シンクロしましたか?
私はエッサッサだけで既に大うけでした。
水が好きなのは胎内の記憶なのか、細胞が呼ぶのか…
自分の命を守ってくれるものを知っているのかしらと思ったりもします。
水道代がハンパない…というご相談、けっこう受けたりします。
時間制限を覚えてもらわないと、漏水御殿になってしまいます。