3日間も休んだというのに、まだ一日休日が残っている。
なんて幸せなんだろ〜。
一日を、好きなようにコーディネートできるというのは、それだけでワクワクする。
4日は朝から葉山へ散髪にでかけた。
くまさんが一緒だ。
といっても、くまはオシャレなサロンで髪を切るわけではない。
鎌倉の山を走るのだ。
途中で下ろしてバイバイ!
3時間後、走り終えたところまで迎えに行く。
その間、私はきれいになるという計画だ。
私の担当美容師さんは、以前は大きなチェーン店の店長をしていた女性で、そのチェーンの店長を指導する店長だった。結婚して独立。ご主人もそのチェーン店の店長だったので、会社は2人の稼ぎ頭を失った。その間のいきさつは、彼女から聞くたびに胸が痛む。
ご主人をオーナーに、彼女をマネージャーとしてオーガニックサロンを開店。私が予約をとっていくと、マネージャーはどんなに忙しくても私を担当してくれる。
ところが、仕事以外にいろいろなことが起き、彼女は休養宣言してサロンワークに出なくなってしまった。当然、10年以上マネージャーの客である私は、オーナーが引き継ぐことになったわけだが…
どうも、オーナーのカットは素敵過ぎて私に合わない。オーナーには独自の美意識があり、「あなたはこうすべきですね。」と提案してくれる。これが、受け入れる度量の広い髪をした、美意識の高い人であればものすごくありがたい提案になるのだろう。しかし、私はちょっと違う。「相談」したいのだ。
どうしよう、私の意見は受け入れてもらえないな、もともと遠いし、マネージャーが復活するまで他の店にしようかと思い、実際に家の近所で一度切ってもらったこともある。
最悪だった。
それよりはオーナーか…マネージャーに旦那さんの悪口メールを臆面もなく送り、不満をもらすと、どうやら同じことでマネージャーも悩んでいることがわかった。しょうがない、奥様が悩んでいるんじゃ、客が悩むのも当然だ。
たまたま、オーナーが忙しく、店の若手が担当してくれた日があった。前の日からマネージャーにプレッシャーをかけまくられたそうだ。髪質が、ややこしいのだ。オーナーもマネージャーも、口をそろえて「この髪は経験を積まないと切れません」と言う。どこに行っても言われるから、きっと美容師泣かせの反抗心旺盛な髪なのだろう。
涼しい店内で、若者は額からタラタラ汗を流してカウンセリングをし、髪色を決め、髪形を決め、何度も確認しながら、実際に私に手で触って確認するようにまで言って仕上げた。この過程がものすごく楽しく、気持ちよかったのだ!
以来、今までずっと、若者に担当してもらっている。回を重ねるごとに、初回のように何もかも相談と言うわけではないが、それでも細かいところは相談して確認して…を続けてくれている。だから、今回だけのわがままとか、気まぐれとかをふと話して、いいですね!となると、実現する。おかげで、5月らしい、襟元が涼やかなスタイルに変身させてもらった。
そのサロンが、さらにゴージャスに生まれ変わって移転することになった。
若者は、そのまま今の店を任されて居残りになると聞いていたが、今の店をたたんで、全員で新店舗へ行くことが前日決まったそうだ。
「よかったね。キラキラのお店で腕を振るえるね。」
「はい。。。」
どうも、若者の返事が冴えない。
「私ね、ふたつに分かれてあなたがここに残るなら、こっちに来ようと思っていたの。」
「本当ですか!」
これは本当だ。マネージャーは大好きだから会いたいが、セレブ仕様のゴージャスな南欧風サロンなんて緊張してしまいそうだ。それに、若者のこの丁寧な客あしらいが本当に気に入っているのだ。
「実は、○○さんとご主人が、独立開業しまして。」
若者には珍しく、唐突に話題が変わった。○○さんは、マネージャーの前に長く私の髪を切ってくれていた人で、彼女が店長になって異動したので、今のマネージャー…その店の店長だった人…が引き継いでくれたのが今のご縁につながっている。
「会社も大変だね。オーナーとマネージャーが独立する時も、やめさせまいと大変だったじゃない。それに、あなたでしょう?今度はあの二人。店の稼ぎ頭を5人も失って、大丈夫なの?」
「いや、危ないんじゃないですかね?」
本当にそんな気がする。
「美容師にとって独立は…自分の店を持つというのは、特に男性美容師にとっては絶対の夢ですから。」
話がここに至って、どうして若者が唐突にこの話をし始めたのか、ようやくわかった。
彼は自分に任されるはずの店を失ったのだ。
一緒に移転すれば、新しい場所で、新しいテクニックで、日本唯一のサロンになることが約束されているのだが、彼はそれ以上に、自分の店を任されたかったのだろう。
「あなたもいずれ独立するんでしょうから、その時はオーナーよりもしっかりと、いい店を作れるように、今から腕を磨いて人脈作っておくのがよさそうね。このお店に来て、ほんとよかったね。」
何も気付かなかったふりをして、そんなことを言うと、若者はハッとしたように言った。
「そうですね。なんだかものすごく時間がたった気がしていたけど、まだ6年しか美容師してません。まだまだ、これからですね!がんばります!!」
つかむんだぞ、男の夢!
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コメント
コメント一覧 (4)
夢のほうをとるのもわかるわぁ〜。
美容師さんとの出会いは大事です。
私も、練馬に越してきてから、ずっと担当してもらっている方がいます。
たまたまだったんですが、丁寧でセンスのいい人に巡り合えました。
遠くに行ってしまったら、追いかけていくかも。
私も最後の休日を満喫しま〜す!
仕事を頑張っていらっしゃいますね
その汗は輝いているはずです
休み、と言えばほとんど毎日が休みなのですが
多忙な日が続き、寝不足状態です
そろそろ散髪に行かなきゃ、と思っていました
能天気な南欧が苦手ですが今、
イタリアの曲を歌っているので、
イタリア的センスを必要としております
満喫、なさいましたか?
いい美容師さんとの出会いは本当に大切に思われます。
ずいぶん遠くまで追いかけています。
月に一度会いに行くのが楽しみでしかたありません。
最近いろいろな気付きが重なって、
今まで私は南欧の能天気の本質を
少しも分かっちゃいなかったんだなと自覚したところです。
散髪で気分はイタリアン?になれるといいですね!