我が家では今春、二人同時に異動になった。
お別れは、どちらも3月25日。
3月31日まで仕事はあるのだが、一応区切りめとなった。
私が9年、くまさんは10年通った職場とのお別れになる。
これは骨休めくらいしてもいいだろうという相談になった。
「温泉、ですかね。白馬にでも行きましょう。」
ということで、26日から2泊3日分の休暇を取っておいた。
29日には引き継ぎの会議がある。

ところが、25日に帰宅すると、ベランダのデッキチェアが花束であふれていた。
「運ぶの、大変だったよ。」
くまさんはこの大量の花束を電車で持ちかえってきたらしい。
ちなみに私は左手前のピンクの花束をひとついただいただけだ。
その分、リビングには私が運んできたお菓子の山ができた。
くまさんが、こんなに職場の皆さんから愛されているとは、なんだか意外というか、不思議な気がした。毎日5時に職場を出ていても、こうなんだぁ。
中には1万円するぞ!と思うような豪華な花束もある。そちらは連名での贈り物だそうだ。
「花瓶、ある?」
「ありますけど、こんなに全部活けるほどにはありません。それに、この背の高いカラーが入った花束、この重さに耐える花瓶は我が家にはありませんよ。」
「そうかぁ。どうしよう。」
「花束のまま、楽しむしかないでしょう。」
「じゃ、水を上げないと萎れてしまうね。」
「そうですね。」
「じゃ、旅行は行けないよ。こんなに綺麗なんだから、毎日見てあげたいし、お水もあげたい。」
くまさんが、旅行よりもいただいた花束を選ぶような人だとは知らなかった。
本当に意外な気がした。
「それはホッとしましたぁ!温泉は魅力的だけど、なんだか気持ちが疲れちゃって、いま一つ気が乗らなかったんですよぉ」
とびこみで泊まれる定宿だけに、何が何でもの気持ちになれなかった。
「じゃ、平日にミュシャ展ってことで。」と言い出したのもくまさんだった。
「お休みの日はおしゃれな人であふれていますよきっと。平日なら案外…」
その判断がどうかは謎だが、滅多にない平日の連休だから、行きましょうということになった。

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コメント
コメント一覧 (5)
というのがひしひしと伝わってきます
自家用車通勤ならいざ知らず、電車ではなかなか運べませんね
同僚の女性に上げてしまうかたも
少なくないのではないでしょうか
旅行より、寿命の短い花を愛でようとなさる温かさが嬉しく思います
こんなに花束もいただけるのですね!
花を楽しみたいだなんて、きゅんとしてしまいます。
ありがとうございます。
私も意外でしたが、夫は案外いいヤツなのかもしれません。
お花に、それを贈ってくださった方の思いを見ることができるのは
素晴らしいことだと感心しました!
自分では買わないので、いただくとすごく嬉しいです。
ということは、3月25日はいただきもの合戦だったのですか(笑)
長年勤めた職場を去るのは淋しいものです。
私はあと2年。
今までで、一番長居する破目になりました。
どんな気分になることやら。
本当に、花束はいただくと嬉しいですね。
私も花は大好きだけど、自分で花束を買うことはそれほど多くありません。
3月24・25日は頂き物だらけでした。
本当にありがたく、うれしく思いました。
あの時のお菓子は、いまだに少しずついただいているんです。
年限いっぱいまでいてみて、離れる寂しさは相当なものでしたが、
完了のすがすがしさもまた、格別でしたよ。