さて、オークションで手に入れた招待券は展示期間より短い使用期限がついている。

円空展は2月22日まで。
王羲之展は3月3日まで。

2月のどこか週末に行きましょうということになった。休日出勤が続いている私は土曜日を避けたいし、雪山スキーにでかけたいくまさんはあちこちの週末を埋めたくない。利害関係が一致した日は2月17日(日)だった。

11時30ごろ、少し早いお昼を食べて、お散歩がてらの参観が楽しかろうということになって、お店探しをした。

昨年、JR上野駅内にある『ブラッスリー レカン』に行ったことがある。あれは雰囲気もよく、美味しかった。
でも、Tシャツにデニム、トレランに使うスニーカーをこよなく愛するくまさんが浮き上がり、浮いている自覚をもつくらいの視野はあったようで、けっこう恐縮していた。行き先は説明してあったのだ。家を出る時に私の服装とのバランスがちぐはぐで、「それでいいの?」と確かめられたことを思い出してくれたろうか。

それでも、家の近くでは味わえないものがいい。
ふと、丁度1年前くらいに、友達と行った『マトリョーシカ』を思い出した。ロシア料理だ。壺焼きがとても美味しかった。それに、食後のロシアンティーがなんとも甘くて、幸せな気分に浸ったものだ。

探している時間がなかったこともあり、『マトリョーシカ』に強引に決定。
で、電車ででかけた。
「カメラは?」
「持ってきた!」
「ありがとう。ボルシチと壺焼きとデザートの写真を撮って、ブログに載せたいの。」
「はいはい。」

『マトリョーシカ』に着くと、11時45分というのに、ほぼ満席だった。それでも運よく空いているテーブルがあり、少しも待たずに席に着くことができた。

それぞれちがうランチコースを注文して、おしゃべりしながらのんびりと待った。地理にも世界史にも疎い私を相手にロシアの話は盛り上がらず、代わりにお互い異動になるこの春の話で盛り上がる。

と、隣の席に若い8人組がやってきた。4人ずつ分かれて座ると、テーブル越しに話しながらはしゃいでいる。男性2人に女性6人。「○○先生のおっしゃる通りにしたら…」などの会話から、初めは大学生かと思ったが、その割にはとうが立っている。

おっ!待ってました。サラダに、ボルシチ。続いて壺焼きが来た来た〜!
壺焼きは、くまさんのエビの豆乳ソースより、私のカボチャとキノコの方に軍配があがる。カボチャ味の濃厚なシチューに舞茸があんなに合うとは思わなかった。カップをふさいでいるパンは、抹茶パンだった。これを崩しながらシチューにひたしていただく。もっちりとした食感のパンで、とても美味しい。

一番年上に見える男性がチーズフォンデュを頼んだ隣のテーブルは、全員が自分のフォークでフォンデュを楽しんでいる。時に隣のテーブルからもフォークを持った女性がやってきて、立ったまま食べたりしている。バーベキューじゃないんだから、それはやめなさいよと思うが、この集団、どこか憎めない明るさを持っている。無作法なのだけど、屈託がなくて、それほどイライラさせられない。

くまさんはボルシチを、私はピロシキを食べながら、なんとなく、隣の集団の正体を探り始めた。どうやら「○○先生」は曲者らしい。8人でため息をついては、「お世話になっていながらなんだけど、いないほうが平和だね」「あなた、言っちゃいなさいよ」「そんなことできるわけないでしょ」「あら、私は言っちゃったわよ」「おおお!」などと言っている。

お隣の男性がチーズフォンデュに追加のチーズと3杯目のグラスワインを注文した時、私たちのテーブルにデザートが届いた。くまさんのコースにはデザートがついていなかったのだが、お店の人が気を利かせて「スプーンをお二人分用意しましたので、ご一緒にどうぞ。」それはうれしい。独占はできなくなったけど。

隣のテーブルから核心を突くひとことが聞えた。
「来週の2歳児組は朝早くからが続くから、今日の息抜きは貴重よぉ」
ビンゴ!
お隣は保育士さん集団であったか!
なるほど、だから無作法と言うよりあどけなさの方が強く伝わるのだ。
くまさんも聞き逃さなかったらしい。

あ!
「しまった!空腹と気が散っているのと、美味しいのとで、写真を一枚も撮ってない!」
「ほらほら、これだけでも撮りなさいよ。こうしたら、ロシアンティーも入りますよ。」
「あ、ありがとう。シャーベットがとけないうちに…」

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おいしかった〜






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