王羲之展のチケットを手に入れそびれた姉さんは、同時期に同じ東京国立博物館で開催されている特別展・円空展のチケットはどうかと尋ねたそうだ。

係の元に届いていた無料招待券は、これも先着順で、既にどなたかの手に渡っていた。

姉さんの怒りは留まるところをしらない。円空に興味があるかどうかということより、タダで本物が見られるという魅力が目の前で消えうせたことが許せないようだ。その毒舌をここに書いているとまた笑いたくなるので割愛しよう。

円空も王羲之も観たかった私は、即刻くまさんに託してみようと考えた。職場は違うが、もしかしたら同じように招待券が届いているかもしれないではないか。

私の熱心な…もとい、執拗な要求に応え、くまさんは職場の担当さんに問い合わせてくれた。すると、なんと王羲之はすでに受け取られた後だった。くまさんは言う。「そりゃ、100人超えの職場2つで、ひとりふたりしか関心を示さないような特別展を、国立博物館が開催するわけないじゃん。」…………なるほど。 

130223_1140~01それでも、100円割引券すらなかった我が職場と違い、くまさんの職場から円空展の無料招待券1枚と王羲之展の割引券2枚をいただくことができた。ありがとう、ありがとう。

円空も王羲之も、どうでもよさそうなくまさんだったが、一緒に行こうよぉと熱心に…もとい、執拗に誘われて、しかたなく行く気になったようだ。そうなると、このハンパなチケットがどうにも気になる。

当日、博物館の前で長蛇の列に並び、チケットを購入するのはスマートさに欠ける気がする。かといって、ネットやコンビニで購入して、この綺麗な写真がついていないのも悲しい。なぜなら、半券を出かけた日の手帳に張り付けて保存しているからだ。私にとって「本物のチケット」はけっこう意義深いのだ。

ふと、ネットオークションを覗いてみた。それまで、チケットをオークションで手に入れるという発想はなかったのだが、調べてみたらドシドシ出品されているではないか。しかも「新聞屋さんにタダでもらいましたが、興味がないので…。」なんて書いてある。これを落札しても法律違反にはならないだろう。

とういうことで、入札してみたら、本来の1人分の値段で2人分の王羲之展と、格安でもう一枚の円空展の招待券が手に入ってしまった。おお。

送られてきたチケットをよく見ると、老眼が始まっている目でもよく見えるような大きさで、こう書いてあった。