先日主人に、母が何かを恐れていると言われるまで、私は母があんなふうな性格なのは持って生まれた性質で、母が好んでそうしているものとばかり思っていたの。だけど、よくよく考えてみたら、少し違うのかもしれないと気付いたの。」
「それ、どういうことですか?私もおやじさんの質問は意外だったのです。おばあちゃんが何かを恐れているなんて、少しも感じなかったから。」
かあさんと話していると、どうして自分はこんなに素直になれるのかと思いながら尋ねました。
「ええ、私も同じよ。でも、あのハトの話を思い出したら、何か分かったような気がしたの。母はあの時、ハトの話をしているようで、実は自分自身について語っていたのではないかしら。母の財力、立場、そういうものを人は慕っているのであって、人間としての母を愛しているわけではないと、母はそう思っていたのではないかしら?」
「もしもそうだとしたら、それってすごく寂しいですね。」
「そうね。私には父がいて、私の何もかもを手放しに愛してくれたわ。私がなにをしてもしなくても愛してくれた。特別に確認しなくても、私は自分が愛されていることを最初から疑わなかったわ。
でも、母は違ったのかもしれない。子どもの頃の母のこと、実はあまりよく知らないの。とても成績の良い、優秀な人だったとは聞いたけど、性格とかお友達のこととか、よく知らない。そういえば、私、母のお友達って知らないわ。お仕事のつながりがあるから、人はよく訪ねてきたけど、お友達っていたのかしら?
母は、きっと誰も信用していなかったのね。母が財産を失ったら、立場を失ったら、経営の才能を持っていなかったら、誰からも大事にされないと思うような育ち方をしたのかもしれないわ。だから、人から切り捨てられる前に、自分から切り捨てる。仲良くなって裏切られるくらいなら、最初から仲良くならないほうがいいと思ったのかもしれないわ。きっと父のことも、信頼できなかったのだと思うわ。」
「なんだか、わかります。私にもそういうところがありますもの。」
私は、私の子どもの頃の出来事を、どうしてもかあさんに聞いてほしくなりました。
「私の子どもの頃のこと、聞いてくださいますか?」
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でも、単独行動が続くと淋しくなります。
勝手なんでしょうか?
いいえ、きっと、一緒に行動したくなるほどの人に出会っていないだけ。
だといいんですが。
ディズニーの空間には、どこもかしこも隙がありませんね。
徹底して夢の世界です。
安易に「わかる!」なんて言っちゃ失礼だとは思うのですが、
わかる。分かりすぎるっ。
人に合わせるのが苦手なのに嫌われたくない、できれば好かれたい。
この葛藤は疲れるので、基本単独行動ですが、
気楽だけれどちょっと淋しい。
身近な友達が同業者かつ家庭持ちでは、そうそう付き合わせてもいられない気もしてしまう。
こちらが一緒に行動したい!と思っても、相手はそう思ってくれないということも多々経験済み。
未来に期待で解決するのだといいんですが。
その人によって、その部分の割合が違うのでしょう
素直でいられるほうが、楽でいいですね
この年になってやっと、素直でいられる時間が増えたような気がします
そうですね。
素直でいられるほうが楽ですよね。
でも、相手に素直なのか、自分に素直なのかの差なのかもしれないですね。
天邪鬼が自分に素直の結果だと、
わがままなくせに何故か憎めない人になりますね。