秋晴れの空は抜けるように青く、真っ白い雲がところどころに浮かんでいました。ディズニーランドは開園時間前だというのに、早くも列ができています。平日なら少しは空いているかと思いましたが、修学旅行の学生や家族連れは曜日と関係なしに訪れるようです。
待ち合わせの時間より少し早く着いてしまった私は、チケットを買おうと並んでいる人々の顔を眺めていました。どれもこれも笑顔、笑顔。ここは、そんなに楽しいところなのでしょうか。「おはよう、弓子姉さん。」かあさんがやってきました。昨日は少し元気を取り戻してみえましたが、こうして外で会ってみると、やはりやつれているのがありありと見てとれました。
白いコットンシャツにデニムがとても似合っています。「さあ、行きましょう。」
かあさんが用意してくれていた前売りチケットのおかげで、私たちは並ばずに入園することができました。私は、以前から慣れ親しんだ、どこか居場所がないようなバランスの悪い気分が蘇って来るのを感じていました。
「あの、かあさんはディズニーランドがお好きなのですか?」私は昨日から疑問に思っていたことを尋ねてみることにしました。
「いいえ。私も初めてと言ったでしょう?子供の頃にはまだなかったこともあるけれど、私にとってディズニーランドというのは、幸せな家族が手をつないで来る場所でね。どうも、私の来る場所ではない気がして、敬遠していたの。」
「おやじさんとは来なかったのですか?」
「あら、だって主人ときたら、みなさんプーさんが歩いていると誤解してよ。」
「かあさんたら、ひどい!」
私たちは思わず顔を見合わせて笑いました。私たちは、ここに来るには条件があると思いこんでいたのです。明るい人、幸せな人、家族と、恋人と、ディズニーが好きだから…。
「父はよく、ロサンゼルスのディズニーランドを訪れた時のことを話してくれました。キャストたちの誇り高きサービス精神や、訪れたゲスト全てに夢をプレゼントしようという考えがどのように形になっているかを。」

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コメント
コメント一覧 (2)
多くのかたがたのようには楽しめないと思います
ですが手本とも言うべきサービス精神の実行には
とても興味があります
結局、男から仕事を取り上げると
たいていは抜け殻になるのでしょうね
自分の仕事のうち、サービスにつながる部分を磨き上げるために
ディズニーのホスピタリティをずいぶん参考にさせていただいています。
が、なかなか、あのようにはいきません。
多分、あれは「個」の在りようと「集団」の在りようが
一致した時に生まれるものだからだと思うのです。