改めて、その何百冊かのタイトルを、1冊1冊丁寧に見てみました。いつ読んだものやらすぐには思い出せないものも多かったのですが、これはあの時この時と、苦しかった記憶が蘇るものもありました。どれも、思い出したくもない記憶のはずでした。

けれども、その夜は違いました。どれも、自分が力ない被害者として泣き寝入りしないために抵抗した記録でした。恥ずかしいことに、本の内容はほとんど覚えていませんでした。けれど、手にとって開くと、そうそうそんなことが書いてあった!これを実行しようと決めたのだったと思い出せるのです。

「私、頑張っていたんだ。すごく頑張ったんだなぁ。偉かったね、私。」
思わず声に出して言っていました。
意味のわからない、けど、心地よい涙がこぼれ落ちました。


「弓子姉さん。明日休業日だけど、何か予定が決まっていますか?」
かあさんに尋ねられたのは、翌朝のことでした。前夜あんなに泣いていたのに、かあさんはすっかり落ち着きを取り戻していました。というより、今まで見たことがなかったような、どこか透き通った印象を受けたのでした。

「いえ、予定は何も。」私は正直に答えました。
「でしたら、私と一緒にディズニーランドに行きませんか?」
「え?ディズニーランド??」

面食らった私は、すぐに答えられませんでした。もしもかあさんが「西洋美術館へご一緒に」と言ったなら、何も戸惑わなかったでしょう。けれど、ディズニーランドへ?これまで特にかあさんがミッキーやプーさんが好きだとは聞いていませんでした。

「あの…私、ディズニーランドには行ったことがないんです。私みたいな根暗なアラフォー女が行くところではないと思うんです。だから、ちょっと…」
私は本心から断るしかないと思い、本気で本音を打ち明けました。