どうも、勘助です。
かあさんが打ち明け話をした夜、おやじさんは何度も何度も迷った挙句、とうとう意を決したように尋ねたのです。
「かあさん、かあさんがそこらへんの家の出身でないことくらいは分かっているよ。嫌ならば無理に言うことはないが、どういった家なんだ?他の家族や親類はいまどうしている?」
かあさんは真っ赤になって俯いています。おやじさんの耳元にかわいらしい唇を寄せて、ひそひそと話しました。「ええっ!!!!」おやじさんは目をまんまるにしてのけぞり、お美代と一緒に後ろへひっくり返ってしまいました。
さて。
明日はばあちゃんが来るという、前日のことです。見覚えのある女性客がやってきました。以前は長い黒髪をしていましたが、今日はすっかり短くなっています。そうそう、この店で男と別れたんです、この女性は。
「あのう」その女性が言ったとたんに、かあさんが「あっ。いつお越しになるかとお待ちしていました。これ、先月いらしたときに、お連れ様がお忘れになった上着です。お届け願えましょうか?」
かあさんが取りだした上着を見た途端、その女性はひったくるように受け取ると、「融、融…」と上着を顔に押し当てて、泣き崩れてしまいました。あまりの泣き様に驚いたかあさんは彼女を抱き起こすと、奥へ入ってしまいました。
店を閉めてから、おやじさんとかあさんは、ようやく落ち着いた彼女と話を始めました。私にはいつものようにかあさんが座り、お美代にはおやじさん。隣から持ってきた兼続に彼女が座りました。

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コメント
コメント一覧 (4)
同時進行の話に、ますますわくわくしておりますが、
でも融さんに何かあったようですね
理解者なのに…
警察に持っていっていいもの?
取りに来るかもしれないと預かっているのが正解なんでしょうか。
場所を取るものだと邪魔だし。
「お連れ様がお忘れになった上着です。着てお待ちしていました」というわけにもいかず(笑)
さて、どういう展開になるんでしょう。
わくわくしてくだっていますか?
うれしいです。
1ヶ月分、予約投稿してあるので、
自分も読者のひとりになって楽しんでいます。
一見さんだったら、忘れ物は警察ですね。
でも常連さんだったら預かっちゃうだろうな。
夏休みが終わっていきますね。
暑いのは大嫌いだけど、夏休みは大好きです。
私の夏休暇も昨日まで。
いきなり、出張から再開です
あ〜行きたくない。