先生、その節は大変にお世話になり、ありがとうございました。おかげさまで、娘共々、新しい生活に少しずつ慣れて、元気に笑える日が増えてきました。一時は一緒に命を断とうかとまで思いつめたことが、今では嘘のようです。

気弱で魅力のかけらもない私と結婚してくれるというだけで感動し、このチャンスを逃したら、もう二度と誰も現れないのではないかと恐怖を感じたのが、全ての始まりでした。今になって考えれば諸悪の根源は私の自信のなさでした。

付き合っていたころは、少しお酒を飲み過ぎることがあったにしても、仕事のお付き合いやプレッシャーからだろう、それを私が理解してあげなければと思っていました。結婚したら落ち着いてくれると信じてもいました。

どうして根拠もないのに、そんなことを信じたのでしょう。夫のお酒は落ち着くどころか増える一方、借金をしたり仕事でミスをするたびに私に頭を下げる夫がかわいそうになり、私は一生懸命尻拭いに奔走しましたっけ。

そのうち私に暴力をふるうようになり、娘が生まれたら娘まで殴るようになり、あまりの辛さに死ぬしかないと思いつめました。でも、私しか彼を理解できる人はいない、優しくしていればいつか目覚めるだろうと信じることを選びました。

だけど間違っていた。偶然聞いた先生の講演で、私が夫を信じていると思っているのは、現実から目を背ける口実でしかなく、私のそのような態度が夫をさらに悪くしていることに気付きました。被害者は私ではなかったのです。

先生のご尽力で、ひとりでは成し遂げられそうになかった離婚を現実にしていただきました。私がしっかりと娘と私自身を大切にできるようになるまで、くじけずに歩いていきたいと思います。先生、勇気をありがとうございました。




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今日もフィクションですが、よく聞く話です、残念ながら。