先生、先日はお忙しいところ、こんな片田舎までお越しくださり、私どもの結婚式に参列してくださって本当にありがとうございました。私がこれから生きていく場所を先生に見ていただけたこと、とても嬉しく思っています。

彼と出会う前は一生懸命に結婚情報誌を読んで、裾を引くドレスやゴージャスなジュエリー、螺旋階段や白いハトが飛ぶチャペルの鐘、ライスシャワー、投げたブーケを受け取った友達の歓声などを、いずれ私もと夢見ておりました。

それが、ごらんになったあの様子です。まるで時代劇。代々受け継がれた打ち掛けに角隠し、たかさごや〜って何?と、私は目が点になりました。新婚旅行は熱海ってどういうこと?カリブでクルージングの夢も崩れ去りました。

でもね、先生。
今、私は、そんなことはもうどうでもよいと思っているのです。嫁いだ夜、宴果ててからお義父さん・お義母さんに言われたこと、聞いてくださいますか?

私たちは嫁を迎えたわけじゃない。家族をひとり増やしたんだ。私たちの娘になると決めてくれたこと、本当にうれしく思っている。ありがとう。息子はダメなところも多いけど私たちには自慢の息子なんだ。自慢の娘まで増えたよ。

私、本当にうれしくて泣いてしまいました。幼くして両親を事故で亡くし、先生の施設に行ってから、先生をお母さんのように慕いながら一人占めできない淋しさ、いつか自分のお父さん、お母さんがほしいと願い続けたんですもの。

彼と一緒なら、カリブも熱海も同じこと。本当に楽しい旅でした。彼と相談して選んだお土産を送りました。ご笑納ください。先生、私ね、これから幸せになるなんて無理です。だって、もうこれ以上ないくらい幸せなんですもの!




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今日もフィクション、モデルもおりません。