朝の改札前で、念入りに防寒対策をした女の子と、初老の紳士が二組、熱心に話をしている。
ただならぬ空気が漂っているのは、ひと組は握手をした姿勢のまま、もうひと組はお互いの瞳を覗き合うようにして話しているから。
横を通り過ぎる刹那に、紳士の声が耳に入る。
「いいかい。実力は十分だ。あとはそれを発揮すればいいだけだから…」
そうか。高校受験に向かう中学生と、塾の先生だ。
自分もかつてあんなふうに、生徒を励まして送り出した日々があったことを思い出す。
「あなたが受からないで誰が受かるの?もしあなたを合格させない大学だったら、通ってもろくな所じゃないから、こっちから見切ってやりなさい!」
相手が変わると励ます言葉も変わる。
普段どんなにシャイな子でも、反抗的な子でも、話を聞きながら透き通った瞳でまっすぐに見返してきた。
その瞳に宿る光の中に、共に積み重ねてきた時間の意味を観たものだった。
振り返ったわけではないけれど、その二組のことが強く印象に残る。
世間では、あらゆることが平等に、あちこちで同時に起きている。
その中のどれに目がとまるかは、その人が何を見たいと思って生きているかによるのだろうな。
できれば「楽して大金持ちになったまま充実感を味わいつつ栄耀栄華に暮らし続ける方法」とかを観たいものだと思っているんですが、まだ見たことがありません。
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高校生の頃、いろんな金儲けをしました
夏休みはドル箱です…読書感想文の量産、楽勝楽勝
入り浸りの書店で手伝いをしたり、いただきものを転売したり
手持ち現金としては、
少なくとも今より裕福でございました
悪銭ではないと思っているので身についているのかも
いろんな思い出と300枚近くのLPレコード
また何か資格試験を受験しようかな?
そういう風に言われてみると私は
食べるものにも困るほどお金がないのに
金儲けは汚いことだとさげすんで
ただ愚痴ばかり並べて過ごす両親に
付き合わされていたんだなぁと思います。
今どうかは、仕事に差し支えるので
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