Win-Win

あなたも幸せ。私も幸せ。

2012年12月

121221_1818~01

がんばった、がんばった。
よくがんばった。
少し、休もう。

ずっと我慢していた、帰宅途中の寄り道コーヒー。
今日だけ、いいよね。
今朝、ブロ友さんの美味しそうな写真を見て、我慢の糸が緩んだのかもしれない。

空きっ腹の甘いものは、本当に体によくないのだろうと思う。
甘いものは食後のデザートにちょっとだけにしてから、朝のだるさが減った気がする。膵臓だけでなく腸も、甘いものがたくさん常に入ってくる状態は好きではないのだ。

コーヒーも毎朝飲んで10年以上。異変に気付いたのは、今回体調を崩した1か月前ほどだった。
何か、自分の体から、知っているけど不快な臭いがするような気がした。
初めはよくわからなかったけれど、ふと、その臭いの元を突きとめた。

なんと、指だ。
具体的に言うと、小指の外側とか指の股から、その不快な臭いがしているのだ。
なんだろう?と考えた翌日、答えがわかった。コーヒーのにおいなのだ。

深煎りのコーヒーの香りはあまり好きではない。強すぎるから。缶コーヒーもにおいが苦手で飲めない。車の中で缶コーヒーを開けられると、その香りで気分が悪くなってしまうこともある。だが、浅煎りか中程度のコーヒーを丁寧に淹れた時の香りはけっこう好きだ。キリマンジャロが一番好きだろうか。でも、その香りが指から漂うと、悪臭としか思えない。

1週間、コーヒー断ちをしてみた。
指の臭いが消えた。
やはり。

3日連続で飲むと、また指のコーヒー臭も復活。
はぁ。
しかたない。平日は紅茶のみ。土日だけ、大好きなコーヒーを楽しむことにしたのだ。

すでに3か月ほど、だいたいこのペースできていた。
今日は金曜日。だから、紅茶の日。
空きっ腹に甘いコーヒーは二重の約束違反だから、せめて甘い紅茶にしよう。

「ジンジャーミルク紅茶」を注文してからふと気付いた。
メニューに「無糖ミルク紅茶」があるじゃないか。
よく見たら「無糖ミルク珈琲」もある。

知らなかった。
もうずっと通っているのに、「無糖」の存在にまったく気付いていなかったのだ!!
知っていたら、砂糖断ち中でも立ち寄れたのに〜。

脳が砂糖中毒になっている時には、見ているはずの「無糖」の二文字が見えなかったのだ。
これぞ、ザ・中毒。
恐ろしい。



それでも、久しぶりに飲む甘い紅茶は、空腹の五臓六腑に沁み渡る美味しさだった。






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投票日3日前、夕闇せまる駅前でのことだった。 
一人の候補者が、大音量のマイクで演説していた。
立ち止まる人もない中、彼はよどみなく訴えを続けている。

「みなさん、働いても働いてもみなさんの給料は安くなる一方です。こんなことがあってもよいのでしょうか?」
よいはずはない。
じゃ、あなたはどうしたらいいと思っているの?

「一方で、日本には400万人もの公務員がいます。そのうち、みなさまの生活の安全を守るために働いてくださる警察官、消防官のみなさんは、わずか7〜8%にすぎません。」
ほう、そうなのか。
具体的に数字を上げられるとわかりやすい。

「その他の92%もの公務員は、一体何をしているのでしょう?こんなに多くの公務員が必要なのでしょうか?この公務員数を削減すれば、みなさまの生活も向上するはずなのです!」

は?

説明が大雑把にすぎるから、こういう展開になってしまっていることくらい私にもわかる。公務員数が多すぎるというのも、他国に比べれば事実のようだから、わかりもする。

しかし、私たちの生活を守っているのが警察官と消防官だけという発想は、あまりにも貧困じゃないだろうか。
この人、本当に政治家か?と耳を疑った。

さらに、それだけたくさんいる公務員が、この駅の周辺にもたくさん住んでいて、自分の話を聞いているかもしれないという発想がなさそうなことにも驚いた。事実、このマンションだって公務員だらけだ。

いったい、どこの党のなんという候補かと、風に翻るのぼりを確かめた。

君には投票しないぞ。



彼には投票しなかったが、彼は当選していた。

大丈夫なんだろうか???






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駅へ向かう寒い朝、ふとひとつの言葉が頭に浮かんだ。


ただ 生きているだけの でくのぼう


今の私のことだなぁ。






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20121216

冷たい雨の土曜日から一転、暖かな日曜日になった。
久しぶりに本屋できまぐれな本探しをしたくなり、昼前から外出した。
帰りに投票に行こう。
念のために着た分厚い上着は、たちまちいらなくなる予感がした。

足の裏が痛くなってから、もう4か月になる。砂糖断ちが1か月。膝や腿全体が痛み出してから2週間くらいになる。体を冷やしてしまうと痛みが増すから、自然と厚着になる。外に出たくなくなる。このところ、休日の外出はいつも車だ。

気温が少し高いというだけで、なんだか幸せな気持ちになってくる。
体の痛みも今日は少ない。いつの間にか癖になった全身の緊張がゆるんでくる。心地よい。
トレーナー姿の小学生たちがはしゃいでいて、ダウンジャケットを脇に抱えた女性たちが笑いながら歩いていく。小春日和はいいなぁと、また嬉しくなる。

誰もが同じ気持ちなのだろう。人出も多くて、どこも混雑している。
あちらこちらと休みなく動き回っているうちに、午後3時近くなった。
喉が渇いた。 お昼もまだだ。そうだ、久しく行っていないあのラーメン屋さんにしよう。
ここの鶏そばは美味しいのだ。

栄養補給をして、冷たいお水を飲んだら元気が出てきた。
もう一つ、本屋をまわろうか。
この元気がよかった。ここでとうとう、探していた本に出会えたのだ。
よし、よし。

思えば、土曜日に外出したら、日曜日はほとんど寝て暮らしていた。重たい疲れで、そうするしかなかった。けれども、世間の人々は、私が寝ている間にも、外に出て何か誰かに出会い、新たな経験を積んでいる。経験は人を育てる。私が寝床でいくら本を読んでも…それも大して読まないが…人生を変えるほどの経験にはならない。筋力も落ちる一方だ。

いつもと同じ場所へ出かけるだけでも、日が違えば経験も違う。いつもは行かない場所へなら、なおさらだ。 持っている体力・気力が乏しいから一層、こうして寝込まずに活動できる余力を残して働きたいものだと、しみじみ思う。

砂糖断ちを始めてから一度も行っていない、上島珈琲の生キャラメルミルクコーヒーが、ふと飲みたくなった。以前は仕事帰りのご褒美だったが、空腹時の甘いものは今も禁止だ。上島珈琲のはちょっと甘いから、食事の後でないと飲めない。丁度、昼食の後だ。これはチャンスかもしれない。

店内が混雑していたので、テイクアウトにした。あっという間に陽が傾き始めている。だんだん赤くなる空を見上げながら、外のベンチで熱くて甘いコーヒーを飲んだ。
柔らかな甘さが体に沁み通っていく。おいしい。
ぬるい空気が少しずつ冷えてゆくのを感じ、上着を着込んだが、胸のあたりがずっとホンワカ温かい。
ゆとりは温かい。温かいと育つ。冷たいと枯れる。
そういうことなのだなぁ。

一眼レフカメラを構えた男性が私の前に立ち、隠れようとする太陽を撮影していた。その姿を見ていて、今のこの伸びやかな気持ちを写真にするなら、この光景かもしれないと感じた。立ちあがり、ケータイを構えると、先に写真を撮り終え、なぜかこちらを見ていた男性に声をかけられた。

「絵に、なりますね。」






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有楽町駅前にある「東京交通会館」へ行ってきた。
ちょっとしたイベントに顔を出し、1時間程度で用事が済んでしまった。何気なく館内の案内図を見ると、いろいろな県のアンテナショップがあるようだ。

エレベーターを降りた目の前に「北海道どさんこプラザ」がある。ちょっと見るだけのつもりで入ってみると、これがなかなか面白い。通りに面した棚には、ロイズのチョコたちが山積みになっている。少し前の自分ならわしづかみにするところだが、ここは大人の流し眼でスルー。

飲み物の棚なども面白い。「北海道限定」の文字が踊りまくっている。
この「限定」に弱いのだ。
デザインが気に入ったボトルはガラスだったので諦め、ペットボトルを2本ほど買うことにした。

imomochiそして、冷凍棚には、面白いものがどっさりと詰まっている。
思わず扉をあけ、掴みだしてしまったのがこれだ。

じゃがいもで作るいももちは、以前沖縄の食べ物を調べた時に「いもしと」なるものに出会い、作ってみて惚れ込んだことがある。
多分あれと同じだろう。

油で揚げたり、フライパンで焼いたりすればよいらしい。
おうっと思ったのは、そのいももちの中に、大好物のトウモロコシが入っていることだ。
炭水化物に炭水化物を足してどうするという気もするし、糖質を摂りすぎて体調を崩したくせに、まだ炭水化物にこだわるのか、という気もするが、ここは北海道の名に免じて許してあげようと思う。

思いがけず楽しい買い物になった。

兵庫、富山、滋賀、長野、徳島・香川に和歌山、 ザ博多!

まるで日本一周できそうな勢いだ。

ちょっとだけ会館の外に出てみた。向こうの通りに沖縄と高知もある。
四国の土を踏んだことがない。けれども、土佐の名物はけっこう知っていることに気付いた。

歩きながら昼食場所を探していたのだが、時間が少し早いこともあり、これといった店に行きあたらない。

車を停めてあったので、東京交通会館に戻った。

くまさんの故郷、秋田のアンテナショップもあることに、この時になって気付いた。
年末には帰るのに、くまさんはお買い物に余念がない。
やはり、故郷の味は恋しいものと見える。
おかげで昨夜はきりたんぽ鍋だった。

どうやら有楽町と銀座をまわれば、格安で日本一周できそうだ。






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jyouki乾燥の季節になった。
昨年は忙しさのあまり、加湿器を出すのを今度〜今度〜と先延ばしにしていたらとんでもない目に遭った。今年はと、さっさと準備。「SHIZUKU」というこの加湿器は、水がたくさん入り、ひんやりした蒸気をたくさん飛ばしてくれる。ハイブリッド式などを選べば、この明らかな水蒸気にひんやりすることも、隣の本棚が黴るのではないか?と心配することもない。だが、白い噴射が眼に見えて楽しいことと、 ちょっと向きを変えれば、何に当たる心配もないことから、これを3年前から愛用している。

砂糖断ちの効果で、髪が抜けなくなったことは以前も書いた。
本当に、抜け毛が減り、生えている髪のツヤが増した。手触りもしっとりツルツルだ。この年齢になって自分の髪質が気に入るというのはとても嬉しい。もともと、うねる、はねる、ぬける、太い、茶色いと、気に入らないことだらけだったから、なおさら嬉しい。

さらに、砂糖断ちの効果と思われるのは、肌の調子がよいことだ。
吹き出物が絶えなかったが、ほとんどなくなった。いつものベタつきも減った気がする。化粧ノリが大変よろしい。これも、毎朝感じられるのはありがたいことだ。 

しかし、残念なことに、体全体の皮膚の過敏さは、例年と変わらない。これは、弱っていた時期が長かったから、まだ回復しきっていないのだと思われる。毎日仕事がつらいままだし、目の下のクマ牧場からは、大きな黒クマさんが逃げもせず居座っている。


「あのぉ、失礼とは思うのですが…。」
ほら、きた。冬は更衣室で誰にも会わないように気をつけるのだが、人数に対して更衣室が狭すぎるので、油断するとすぐに誰かと一緒になる。すると、当然、こんな声をかけられる。

「ああ、シャツが裏返しなのを教えて下さろうとしているのでしょう?これね、わざとなんですよぉ。」
「ええっ、本当ですか?どうしてですか?」
想定通りの会話だ。この冬何度めだろう。

「ここの、袖とか脇とか、この縫い目が肌に当たると、半日くらいで擦り傷ができて、帰る頃には血がにじむんですよ。見ます?ほら、こんなふうに…」
「うわぁ!大変ですね。でも、このシャツの縫い目、ほとんどないも同然ですよ。」
「そりゃもう、表の柄より裏の縫い目を見て、値札も見ずに買いますからね。 それでも、これですよ。」
「うわ、なんだか、かわいそう。」
「だから、縫い目が肌に当たらないように、裏返して着るわけです。そうすると、ツルツルして、傷ができない。」
「なるほどぉ。」
「でも、色気がないですよね。素敵な男性に素敵なお誘いを受けても、絶対ついていけないですよ。それに、救急車も嫌ですね。意識がないうちに脱がされて、こんなのを見られた日には
「あはは!」
「それに、何が悲しいと言って、寒がりなのに『ふんわり裏起毛』とかいうのが選べないことほど悲しいことはありません。」
「え?どうして?」
「だって、起毛が裏返って外側にいっちゃうでしょう?温かくないし、上に着る服との摩擦が増えて、静電気がバリバリ起きるし。髪の毛が逆立っちゃいます。」
「なんだか大変ですね。」
「はい。だから、気にしないでくださいね。」
「納得です!頑張ってください!」

応援されても肌は強くならないけどね。






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1a7015fa.gifクリスマスが好きです。
街がキラキラして、なんとも美しいし、道行く人もキラキラして、なんだか楽しそうだからです。

普段は、あまり過去を振り向きません。
前を見るのに忙しすぎるということもありますが、あまり執着がないとも言えるでしょう。
同窓会など、行かねば!と大事にしている人が多い中、私には気の重い集まりになりがちです。覚えていない出来事も多すぎて、自分のこととは思えなかったりするし…。


先日、「面接官」という役がまわってきました。
初ではありません。というか、慣れているといったほうがいいかもしれません。
2人組でするのですが、パートナーは前の職場も一緒だった仲良しでした。
私が先に今の職場に移ったので、当時担っていた役割のほとんどを、彼に引き継いでもらったのです。

早めにスタンバイした私たちは、さしたる緊張もなく、開始時間を待ちました。

「最近、物忘れがひどすぎるの。今日の資料も真剣に読んだはずなのに、何も頭にひっかからないんだよぉ。」
私が嘆くと、彼は驚いた顔をしました。

「えっ?最近??そりゃいいじゃないか。俺なんか、もう数年前からヒドイのなんの。」
「うそでしょ?私が山ほど抱えていた重要任務を一子相伝したあなたから、そんな言葉を聞くとは思わなかったわ!」
「あの頃はまだね。体力も気力もあった。でも今は…」
「わかるわぁ。気力は続かないし、気力を補う体力はもう湧いてこないし。」
「そうそう。まぬけなことばかりするし、知らない間に居眠りしてるし。」
「私なんか、自分で自分が意味不明よ。先日、こっちの会議資料を探していたら、全然違うファイルに丁寧に綴じてあるのを発見したのよ。しかも、時期が合ってない。いったい何を考えてあそこに入れたのか、 さっぱり分からない!」
「あるある!今欲しい資料だけないんだよなぁ。」
「それでドタバタして、若手に『持ってない?』なんて聞いたりして。」
「で、どうでもいい時になって出てくるんだ。」

「私ね、あなただから正直に言うけど、30代前半くらいまでは、先輩方を見て、ふがいないなぁって腹を立てていたの。ベテランなんだから、もっと質のいい仕事しろよって。お手本にしたい人なんかいなくてね。」
「うん、俺もそうだった。」
「でもさぁ、今になってわかったのよ。この歳になると、質のいい仕事がどんどんできなくなるんだねぇ。」
「そこだよ!そうなんだ。アホなことばかりしてしまう。誰かに助けてもらわないと、クオリティが保てないんだよ。」
「そうなんだよねぇ。私、ホントに冷たかったなぁ、先輩たちに。若気の至り、ごめんなさいって気持ちよ。」
「俺さぁ、最近分かったんだ。『社長』とか言われる年代の人に、なぜ秘書がついているか。」
「なぜ?」
「ついていないと、大事なことがポロポロこぼれて整理できないから。そういうお年頃なんだなぁ。俺にも秘書がついていたら、もうちょっとましな仕事ができるのになぁ。」
「納得!私も秘書が欲しいから、勝手に身近な若手を秘書にしてるよ!」
「聞いてるよ。こき使ってるらしいじゃん。」
「感謝してますよ。でき過ぎ君がいなければ、私の毎日は成り立ちません!」
「あ、最初の方が見えたみたいだよ。面接官の顔になりましょうかね。はい、切り替えっ!!」

「どうも、面接担当のHikariでございます。どうぞこちらへ・・・。」






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あいたた 

腰が痛い。首が痛い。足の裏が少し痛くないなと思ったら、痛みが膝に移った。膝の、お皿の上の筋肉が痛い。それに合わせるように、ふくらはぎも、ももも痛い。つまり、足全体が痛い。

どうやら、冷えると痛みが増すらしい。なぜか今年は特に寒くしたわけでもないのに、つま先が氷のように冷たくなってしまう。足全体の血行が悪いのだろうか?なぜ?

考えても理由はわからない。が、予防と対策はありそうだ。

さしあたり、ジャージの下にもう一枚何かはこう。 まだアンダーアーマーには早いから…。これだ。

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なんと木綿だ。薄いくせに温かい。昨年出会って虜になった。長袖のシャツとおそろいで着よう。

柔らかくて温いなぁ。

次に、靴だ。仕事中のルームシューズは、足の甲がメッシュになっている。これが冷えに直結しているに違いない。次の夏までサヨウナラ。がっちりガードを選ぶ。

お次は首だ。足首、手首、首。とにかく「首」とつくところが冷えると体全体が冷えてしまう。温めるべし。

そして最後は、冷えた後の処理だな。湯船に浸かってじっくり温めるのも大事だが、ストレッチをして内側から冷えを取るのもよさそうだ。

運よく我が家は床暖房。ぬくい床に横たわり、固まった筋を順番に伸ばしていけば………




あいたた

振り出しに戻る。






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笹子で犠牲になった9名の方の御冥福を祈りつつ、森光子さんに続き勘三郎さんまで逝ってしまって、命について考えることが多い1週間でした。

「じゃぁね〜」
玄関に急ぐくまさんの声を自室で化粧しながら聞き、「は〜い」と返事だけして 、自分も大慌てで出勤する。そんな時、お互いに、これで生涯会えなくなる可能性があるのだなどとは考えていない。

我が家の場合、くまさんの趣味が常に命の危険をはらんでいることと、私の虚弱な体とが常備されているから、日常的に「どちらかが死んだら…」という話になる。でも、それが今日かもしれないとは、平日は考えない。

まさかトンネルの天井が落ちてきて、自分を下敷きにするなどと、目覚めた朝に誰が思うだろうか。

誰もの命が、いつ絶えるとも分からない儚さをはらんで生きている。
そういうものなのだと、再認識した。


2ヶ月かけて準備してきたイベントが昨日終わった。
今年採用になった新人さんと2人で組んでの企画で、彼女に主導権を渡し、彼女の研修込みでの企画運営になったので、完璧主義の口うるさいオバサンとしては、ストレスフルな2ヶ月だった。

彼女の一生懸命さは称賛に値する。全力でできること以上にやっている。だから、一見大過なく終わることができた。きっと、それだけで合格なのだ。

けど、オバサンから見たら、彼女というより、スタッフ全体の力量不足が露呈されたと感じた。お客様を危険にさらす場面が幾度も見られ、最後は言葉を失ってしまった。イベント中に怒鳴るわけにもいかないし、私は私にしかない任務を負っており、そうそうフォローにも回れないのだ!

終了後、自分のチームと、彼女とはそれぞれに反省会を開いた。「うまくいった、よかった!!」としか思っていなかった彼らに、次々と反省点をあげていく私は鬼婆のようだったろうが、彼らは目を丸くしながら「そんなこと、考えてもみませんでした」と繰り返す。つまり、知らないからできないのだ。

職場が若いということは、こういうことなのだ。


疲労困憊、帰宅しようとした私に、専務が声をかけてきた。「無事でよかったわね。」
「表面は無事ですが…」気付いたことを報告した。専務が凍りついた。「嘘でしょう????」

「それは大変。研修会開きますから、今日のこと、報告してください。それから…。もうひとつ…。それと…。」どこまで出るんだ?ま、しかたないけど。

「いえ、全部やるには時間がありません。私、今年度限りで異動ですから。」
「異動前に死んでもやってください。」
私、仕事に殺されちゃうかもしれません。






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中央道笹子トンネルの天井崩落事故には驚かされた。
数えきれないくらい通っている場所だ。
私よりよほどたくさん通っている人がいるだろうけど。 

あの朝、くまさんはあそこを通って八ヶ岳に行こうかと考えていたらしい。
でも、「なんだかやる気が出ない〜」と珍しく朝寝坊をして、一緒にガッチリマンデーなんか見ていた。
ヤル気を出してでかけていたら、私は未亡人になったのかもしれない。

運転は大好きなのだが、実はトンネルがとても苦手だ。
一方向にしか通路がない、大きなトンネルであっても、自分が走っている位置がふと分からなくなってしまうのだ。どうしてかというと、あのオレンジ色の明かりがついている壁や天井が自分の車に向かって迫ってきて、行き先が針の穴のように小さくなっていくように見えるからだ。

これが双方向の行き違いになっているトンネルだと、針の穴の中を向こうから対向車が飛び込んでくるように見えるので、恐ろしいなんてものではない。左へ左へと逃げるから、助手席の人は壁に激突しそうな恐怖を味わうのだそうだ。実際に、よくデコボコの白線を踏んでゴゴゴゴと音がする。

中央分離帯がはっきりしていないトンネルの恐怖は、もはや言葉にならない。対向車も飛び込んできそうだが、何より自分が飛び出していきそうな錯覚に駆られる。錯覚とは分かっているが、逃れ方がわからない。キャ〜ギャ〜と声を出しながら運転していることも多い。

「あなたの目はかなり難しい、特殊な目ですから。」
診察する眼科医が口をそろえる。レーシックも受けられないくらいだから、普通でないことは分かっている。だからこんなふうに見えるのだろうと思っていた。

が、今回の崩落事故を受けて、もしかしたら自分は未来を見ていたのかもしれないと思ってみた。
超能力者か妖怪人間になったような気分だ。

面白半分に「早く人間になりた〜い」とつぶやいてみた。
思いがけず、くまさんが答えた。
「ぜひ、そうしてください。」

え?






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