Win-Win

あなたも幸せ。私も幸せ。

カテゴリ:小説 > 先生、あのね

先生。
こんな手紙を書くのは、本当に恥ずかしい。
でも、もう黙っていられないので、勇気を出して書きます。

僕は先生が好きです。本当に好きです。
入学してすぐは何とも思わなかったけど、授業を受けているうちに、いつの間にかとても好きになってしまいました。姿も声も字も、考え方も全部好きです。

他の授業中でも、考えるのは先生のことばかり。用もないのに職員室のほうへ行ってみたり、先生の時間割をチェックして、次の授業に行く時に通る廊下を休み時間いっぱい眺めたりしています。姿が見えただけで幸せな気分です。

先生は僕のことをどう思っているのか、ずっと考えていました。年上だし、先生と生徒だし、尋ねても答えてもらえないと思うし、ハッキリ断られても傷つくし。だから、先生の様子から気付けないかと、ずっと見つめていました。

それで、思ったのです。先生も、僕のことが好きなのではありませんか?
そうでなければ、あんなに僕をみつめたり、じっと見ていたかと思ったら優しく微笑んだりするはずありませんよね?僕の勘違いですか?

まだ2年生だけど、卒業したら先生に会えないと思うとそれだけでフリーズしてしまいます。僕の進路は先生の母校へ進学と決めました。先生が4年も過ごした場所で僕も過ごしてみたいから。難関大学だから難しいけど頑張ります。

付き合ってなんて言いません。他の先生たちとご飯に行ったと聞くと羨ましくて死にそうだけど我慢します。でも、気持ちだけは伝えたかった。返事もいりません。ただ、今までより少しだけたくさん僕に微笑んでください。お願いです。




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今日も完全にフィクションです、当然。モデルもいません、まったく。



拝啓 梅花の候、先生におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。小生、昨日傘寿の祝いをしていただきました。まさか80歳まで生きようとは。先生は今年白寿をお迎えのはず。慶賀に堪えません。

本日このように改めて筆を執りましたのは、先生にどうしてもお伝えしたいことがあるからです。黙っておるほうが小生の矜持は保たれると存じております。が、このままでは死んでも死にきれぬのです。

先生が担任をしてくださった年。ひどく暑い、蝉の声が騒がしい夏の日のことでありました。先生は掃除をせずに遊んでいた生徒を厳しくお叱りになりました。共に掃除当番であった級長の小生も、先生のお叱りを受けました。

先生は、己が責任を果たせないのは男子として許し難しと、お手持ちの物差しにて我らを打擲なさいました。その上、反省を促すため、廊下に立たせておかれました。折しも母が、その列に連なる小生を見ておりました。

あの時、小生は友に恨まれることをも顧みず、級長として掃除をするよう言い立てておりました。友は我が言葉を容れず戯れておりました。そこへ先生がお越しになったのです。先生は我が言葉を聞き苦しい言い訳となさいました。

我が子が級長であることを心ひそかに誇りにしていた母は、家に帰るなりさめざめと泣いておりました。母は先生のご指導に間違いなどあるはずがないと信じ、我が息子を恥じてやみませんでした。私は怒りに燃えました。

あの時の悔しさは消えず、折に触れ蘇り、少しも色褪せることなく小生を苦しめます。未だあの時の先生のなさりようを承服致しかねるのです。この苦しみから逃れるには先生にこの恨み、お伝えするしかないと思い至った次第…




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今日もフィクションです。ただ、以前、70歳を越えても小学生の時に叱られたことが忘れられない、という話を聞いたことがあり、参考にいたしました。


先生、その節は大変にお世話になり、ありがとうございました。おかげさまで、娘共々、新しい生活に少しずつ慣れて、元気に笑える日が増えてきました。一時は一緒に命を断とうかとまで思いつめたことが、今では嘘のようです。

気弱で魅力のかけらもない私と結婚してくれるというだけで感動し、このチャンスを逃したら、もう二度と誰も現れないのではないかと恐怖を感じたのが、全ての始まりでした。今になって考えれば諸悪の根源は私の自信のなさでした。

付き合っていたころは、少しお酒を飲み過ぎることがあったにしても、仕事のお付き合いやプレッシャーからだろう、それを私が理解してあげなければと思っていました。結婚したら落ち着いてくれると信じてもいました。

どうして根拠もないのに、そんなことを信じたのでしょう。夫のお酒は落ち着くどころか増える一方、借金をしたり仕事でミスをするたびに私に頭を下げる夫がかわいそうになり、私は一生懸命尻拭いに奔走しましたっけ。

そのうち私に暴力をふるうようになり、娘が生まれたら娘まで殴るようになり、あまりの辛さに死ぬしかないと思いつめました。でも、私しか彼を理解できる人はいない、優しくしていればいつか目覚めるだろうと信じることを選びました。

だけど間違っていた。偶然聞いた先生の講演で、私が夫を信じていると思っているのは、現実から目を背ける口実でしかなく、私のそのような態度が夫をさらに悪くしていることに気付きました。被害者は私ではなかったのです。

先生のご尽力で、ひとりでは成し遂げられそうになかった離婚を現実にしていただきました。私がしっかりと娘と私自身を大切にできるようになるまで、くじけずに歩いていきたいと思います。先生、勇気をありがとうございました。




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今日もフィクションですが、よく聞く話です、残念ながら。


先生、あんた、なんでこんな因果な商売してるんだい。自分のことはちっとも話さないから、こっちはあんたのこと何も知らないが、家に帰ればガキや奥方もいらっしゃるんだろうに。

その懐に入れて肌身離さず持ち歩いている書きつけには、何が書いてあるんだい?昔のコレからもらった恋文かい?それともどこかに財宝でも隠したか。ま、見せてもらったところで、おいらは字なんか読めないが。

先生よ、おいらは時々先生を見ているとゾッとしちまうんだよ。特に刀を研いでいる時がいけねえ。あの眼はなんだい。10人20人殺したって、ああはならねえよ。怖いお武家は他にも知っているが、あの眼は先生だけだ。

噂じゃご大身の出だそうじゃないか。それが、今ではおいらのような下賤の者と寝起きを共にする殺し屋稼業。おっかぁから、お前は虫けら以下だと言われたおいらはしかたねえが、先生のような方がなぁ。

おいらは知りたいんだよ。人間、何があればそんなふうに落ちられる?何があればそんな眼になるんだい。人のことをこんなに知りたいと思ったことは今まで一度もなかったおいらだが、気になってしかたねえんだ。

おいらはさ、実のところ先生が好きなのさ。好きってもお稚児趣味みたいなもんじゃないよ。先生はよ、でっけぇ船みたいなお人さ。のっかってりゃ安心、沈んでも、この船が沈むんじゃしかたねえと素直に諦めきれるのさ。

おっと、その眼でおいらを見るのはやめてくれ。おしゃべりが過ぎたんだろう?分かった分かった、もう黙る。頼むから、刀に手をかけるのはやめておくれ。あと一時もしたら仕事なんだからな。




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子供のころから大の時代劇ファンでした。用心棒のお武家さまを「先生」と呼ぶのを、なんだか不思議な気持ちで見ておりました。



昨日息子が帰宅した時、非常に不機嫌に見えましたので、理由を尋ねました。なかなか話したがらなかったのですが、重ねて問い質したところ、テストを返却した際の、先生の言葉に傷ついたと教えてくれました。

息子の化学のテストは、確かに78点でした。理系の科目が苦手な息子にしてはよく頑張ったと思います。しかし、先生はテストをお返しくださる時に「もうひと頑張りだな」とおっしゃったとか。事実でしょうか?

息子は十分に頑張っております。その努力をお認めくださることなしに、さらなる努力を強いるなど、先生と呼ばれる方がなさることとも思えません。それ以上に、満点を取った生徒がいたと殊更に褒めたそうですね。

サッカーの練習をすれば誰もがメッシになれるわけではありません。どんなに努力してもAKBに入れるのは48人。49番目の子は一般人です。努力が形になる子だけが褒められるのはいかがなものでしょうか。

それに、その満点の子は、テストに出た問題とそっくりの問題を、問題集で解いていたのだそうです。言ってみればラッキーの産物。そのような偶然に恵まれたからと言って、何ほどのことがありましょうか。

最近の先生方はまったく常識がありません。子供の個性を認めず、十把ひとからげの授業を飽きることなく展開して、反省する色も見えません。世の中は、個の特性を理解し尊重し、長所を生かしていくようになっています。

心ない発言で息子の心を傷つけたこと、息子に頭を下げて謝罪してください。校長にもこのような教師を野放しにしている反省を求めます。このことは、教育委員会にも連絡しました。再発防止策の説明を求めます。




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これを読んで、フィクションだと感じたあなたはとても善良な方だと思います。
かつては考えられなかったことですが、日常茶飯事の昨今です。


今年も北海道から極上のタラコが届きました。ということは、鎌倉のお宅へ先生をお訪ねする季節が来たということです。ご健勝でしょうか。奥さまはいかがお過ごしですか。昨年は風邪を召されていて、お話が叶いませんでした。

政局の混迷ぶりは、日々お耳を汚している通りです。大臣と呼ばれて答弁している私の姿を恨みの眼差しで見ている国民が多いのは、重々承知しています。政治は、国民が思うほど、単純なものではないのですが…。

毎年、先生のお宅に伺って、あのお日様がさんさんと降り注ぐリビングで、白いマリア像にやさしく見降ろされながら先生ととりとめもない話をしていると、大学の薄暗い研究室で先生と政論を戦わせた日々を思い出します。

白いエプロン姿で、先生好みの焼き加減になるよう慎重にタラコを焼いていらっしゃる小柄な奥さまが、時折こちらを振り向いて、鈴を振るような声でお笑いになるのを聞いていると、体に溜まった毒が消えていくような気がします。

先生と差し向かいで、タラコをつまみに酒をなめている間は、門の外に黒い車とSPが待っていることも、分厚い書類の束も、何もかも忘れて学生に戻ります。そうして、そのうち、政治への情熱を思い出すのです。

私は、何と言われてもよいのです。唾を吐きかけられても気にもなりません。ただ、この国の将来に、わずかでも、負債ではなく財産を残したい一心です。死後100年、あの時のあの大臣はよくやったと言われればそれでいい。

また真っ赤なバラの花束をお持ちしますから、奥様に花瓶をすべて空にしてお待ちくださるようお伝えください。今年の酒は青森のです。遠足を待つ子供のような気持ちで、先生にお目にかかれることを楽しみにしております。




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今日は、高校生のの私が、今は亡き文学博士のお宅で実際に目にしたことをベースにしています。テレビで見るしかめつらしい大臣が、あんな笑顔の優しいおじ様だった衝撃は今でも忘れません。


やっぱりダメだわ。私、うまくいかない。また仕事クビになっちゃった。せっかく先生に紹介していただいた会社だったのに、ごめんなさい。私、一生懸命やったのよ。でも、それじゃダメだって言われるの。

私、こんなだから、人から好かれないことくらい分かってる。馬鹿だし、きれいじゃないし、かわいい女のふりもできない。貯金もないのにお酒は飲むし。でも、嘘だけはつかなかったんだよ。ほんとだよ。誰もだましてないよ。

男にも逃げられた。お前は独特で魅力的だとか言ってたくせにさ、ちょっと一緒に暮したら、お前は人の気持ちがわからないとか、苦労を知らなすぎるとか言いたい放題。私、苦労しかしてないのに。

誰も待ってない暗くて冷たい部屋に帰ってさ、冷たい畳に座ったら、お酒飲むしかないじゃない。常識がないとか、努力がたりないとか、我慢が足りないとか。私、足りないことばっかりみたい。

そそっかしいから書類を書き間違えちゃうの。計算も苦手。掃除もダメなんだよね。私がやると、かえって散らかっちゃうって叱られるの。我慢して、努力もしたんだよ、私なりに。でも、常識って何?私、分からないよ。

男も仕事も失って、これからどうなるんだろうって考えるんだけど、頭が真っ白になって、何も考えられない。怖いよ。本当に怖い。もともとダメ人間だけど、このままお酒だけが友達の人生になりそうで怖くて仕方がないよ。

先生、幸せになるには資格がいるのかな。私じゃダメなのかな。どうしてこんなふうになっちゃうのかな。私、先生の授業だけはわかったからさ、先生なら私にも分かるように教えてくれると思うんだ。ねぇ、教えて、先生。




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答えを掴みにくる人には、問題が何であれ、その人が何歳であれ、自分の手で答えを掴んでもらうまで付き合いたくなるのが「先生」かもしれません。


恥ずかしながらご相談申し上げます。高1の息子のことについてです。私には息子のことがまったく理解できません。小学生のころは大人しい、穏やかな子で自慢でしたが、中学生になってからひどく暗い子になってしまいました。

県立の、大して難しくもない高校に進学しましたが、私が知らない間にあまり登校しなくなっていたようです。高校から連絡があり、これ以上欠席がかさむと進級できないというのです。妻から聞いて驚きました。

妻は、これまでも学校からたびたび連絡を受け、個別面談にも行っていたのに、私には報告していなかったのです。それが、いよいよ進路変更を考えるよう言われ、どうしようもなくなって相談してきたというのです。

そればかりではありません。学校へ行くように説得する妻に、息子は暴言を吐き、物を投げつけたりしていたそうですが、そのことも私には内緒にしていたのです。突然こんなことを聞かされ、私は憤りで息が止まりそうでした。

聞くなり、私は息子と話し合おうとしました。息子は黙っているばかりで、学校へ行かずに何をしているのかも、これからどうしようと考えているのかも、いくら聞いても答えません。そのうち、突然暴れ出しました。

部屋にあるだけのものを投げつけ、家具をひっくり返し、妻や私に殴りかかりました。いつの間にあんな力をつけたのか、まったく抵抗できないほどの力でした。息子は意味のわからないことを泣き叫びながら暴れていました。

私の担任だった時から先生は子供の心を本当によくわかっていらっしゃました。先生、私はどうしたらよいのでしょう。息子は今、暴れ疲れて眠っています。目を覚ますのが恐ろしい。本当に、恐ろしくてたまらないのです。




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今日もフィクション、モデルもいません。


先生ったら、過労で倒れたそうですね。少しだけ入院してたけど、今は自宅療養中と京香が連絡をくれました。もう、びっくりしたり、ホッとしたり。だめじゃないですか、そんな無理な働き方したら。

「あなたは激務だから体を大事にするのよ」って、いつも先生が私に言ってくれますね。今日はそれをそのまま先生にお返しします。いつまでも20代のつもりじゃないでしょうね?健康が一番の財産って、先生が教えてくれたのよ!

うちの利用者さんの最高齢は96歳です。でも少しもボケてないし、杖はついているけれど、自分で歩いてきて、シャキシャキ運動しています。ご飯もよく食べるし、よくしゃべるし。とってもお元気です。

よく眠り、
よく食べ、
よく動く。

この前、その利用者さんに長生きの秘訣を聞いたら、そう教えてくださいました。先生、本や仕事が好きなのはいいけど、すぐ睡眠時間を削るし、夢中になると食べないし、座りっぱなしでしょう?だから倒れたりするのよ。

これからは、少しは反省して、ちゃんと寝て、ちゃんと食べて、考え事より運動して、それから余った時間で仕事してください。運動した分しか本は読んじゃいけません。週末は疲れて寝たきりでしたなんて、もう私が許しませんよ。

先生、卒業式の日に言ったよね。「私より先に死ぬのは許しません。みんな、元気に長生きして、私のお葬式に来てちょうだい。」って。先生の教えは守ります。でも、さっさと死なれてたまるもんですか!老後は私が面倒見てあげるから!




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はいはい。ごめんなさい。気をつけます。


お師匠様、つつがなくお過ごしでしょうか。しばらくお目にかかれず、大変申し訳なくも恋しくも思っております。今日はご報告したいことがあって筆をとりました。わたくしの身に起きた、信じられない出来事です。

実は先週、例の舞台の降板が決まりました。お師匠様のご推挙あっての舞台でしたので、わたくしも身を入れて誠心誠意お稽古を積んで参りました。ところが、舞台監督のお気に召さなかったのです。

なんとか監督のお眼鏡にかなうようにと、お気に召さない理由を伺いました。すると、わたくしが目立ち過ぎるとおっしゃるのです。群舞のひとりなのだから、群として見えなければならないのに、わたくし一人、別に見えると。

所作が見苦しいということならば精進致しますが、わたくしの在りようを問われているよう。苦心いたしましたが変えることができず、とうとう降板となったのです。お師匠様のお顔に泥を塗ることとなってしまいました。申し訳ありません。

子供のころからお師匠様にお教えを請い、甕の水を移すように芸をお伝えいただきましたわたくしです。ひとり目立つからと言われ、降板と相成り、悲しくも思いましたが、一方でどこか誇らしく、それでこそとも思われました。

ところがです。あの日たまたまお稽古場へお運びだった外国の方から、映画に出てみないかと言われたのです。何かの冗談かと思いましたら、ハリウッドのあの有名監督さんが花魁役の新人を探しているのだそうです。

今日、ハリウッド行きのファーストクラスチケットが届きました。お師匠様から受け継いだ芸の神髄を世界に披露するチャンスです。騙されてもいい。挑戦して参ります。どうかどうか今まで同様、わたくしの心の支えでいてくださいませ。




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完全に事実無根のフィクションです。
が、師弟というのは、ある意味親子以上に深い絆で結ばれていることがあるものです。


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