昨日で、1年以上にわたって連載してきた小説『生きるのに必要なことは全部サッカーが教えてくれた』を完了しました。
長いことお読みいただき、本当にありがとうございました。

話があちらこちらへ行き、必要以上に書き込んでしまったところも、ええい!いいやと飛ばしたところもあると自覚していたので、読んでくださっていた方にとってはどう見えているのだろうと、ずっと気がかりでした。

あれは、昨年の春、出勤のバスが渋滞にはまり、なかなか進まなくてそわそわしていた時のことでした。
異動してまだ日が浅く、その渋滞がどれほど深刻なものか分からなくて、遅刻しないようずい分早く家を出ていたものの、どうにも落ち着きません。
けれど、私がいかに焦ってみたところで渋滞が解消することはないし、バスが空を飛ぶこともありません。
ここは落ち着くのが肝要と、自分に言い聞かせました。 
運よく座席に座っていたので、目立たないように深呼吸した後、目を閉じました。
すると、唐突に、ある風景が浮かびました。

芝のキレイなサッカー場、試合後のヒーローインタビューに呼ばれた選手が、突然のプロポーズをしています。
プロポーズを受けた女性はと見れば、なんと子どもを連れている。
隠し子だったんですね。
いったい、何が起きたのかとキョロキョロしている私は観客席に座っています。
周囲の人々は、目の前で起きたものすごいサプライズに右往左往。
陽炎が立つほどに湧きたっています。
雑然とした騒音、ビールやタコ焼き、焼きそばのにおい、選手たちの汗に濡れて肌に張り付いたユニフォーム、固くて小さな椅子に長く座ったせいか、ちょっと腰が痛い感じ…。
ふと振り返ると、ガラス張りのVIP席から見下ろしている人の姿が見えます。
不思議とそれが、小さな女の子に見えました。
私は思いました。
高くて遮るものがないから、一部始終が全部丸ごと見えるのでしょうね。
安全で、快適で、居心地がよいことでしょう。
でも、そこにはないものが、こっちにはあるのよ。
あなたもこっちに来て、タコ焼き一緒に食べない?
ピッチでは、先ほどプロポーズに成功した選手が、サッカーについて素晴らしいことを語っています。
ガラスの向こうの少女は考えています。
この選手を、いつか私のチームに呼ぶわ!決めたっ!!

ふと我に返って目を開けると、まだバスはいくらも進んでいません。
そのとき見上げた看板まで覚えています。
自分でも不思議なほど唐突で、脈絡のない空想でした。
でも、空想と忘れるには、あまりに印象的な映像でした。
バスがやっと目当てのバス停にたどり着くまでの間に、これを題材に書こうと決めていました。
つまり、この小説は、320話のうち、318回目から320回目までのエピソードからスタートしたのです。

1年間抱き続けたその時の映像を、とうとう書きだすことができた時の喜びは、例えようがありませんでした。
あまりの忙しさに、途中何度か連載をやめようかと思ったこともあったのですが、続けてよかったと本気で思いました。
いくつか書いてきましたが、これほど書ききった!と感じたのも初めてです。

予定より長くなりすぎ、連載ペースも落ちたことから、ワールドカップブラジル大会前に終わる予定は大幅にずれて、夏のサッカー・インターハイ決勝まで終わってしまいました。
それでも、海外リーグ戦は続き、日本代表には新しい監督がやってきて、話題に事欠きませんね。

今回の登場人物たちには、本当に愛着を持っています。
できればそのうち、スピンオフドラマを書きたいです。
また何か、着想が降ってくるのをお楽しみに!

皆さまのご愛読に心から感謝します!
それでは、みなさんご一緒に…かんぱ〜い!カンパイ!






もうひとつのエッセイブログ『ゆるるか』不定期に更新中!



人気ブログランキングへ