思い出した、思い出した!
「薄い話」を書こうと思った元々の出来事。 

朝目覚めると、なんとなく喉が痛くて、唇が乾燥していた。
今、職場でウイルス性の肺炎が流行している。
私の身近にも発症者がいたので、もしかしたらもらってしまったのかもしれないと思った。
目の周りがぼんやりと生温かい。
発熱前の兆候でもある。
全身がいつもよりだるい。ついでに、筋肉もピリピリする。

とはいえ、熱があるわけでもなかったので、いつもどおり出勤した。
家を出る時にふと、今日は水筒を持っていこうかな?と思ったのだが、電車の時間が迫っている。まぁ、いいか。

ところが、電車を降りてバスに乗り換える頃になると、本気で喉が渇いてきた。一日中こんなことでは、本当に風邪を発症してしまいそうだ。何か買おう。

このルートでの出勤では、自宅の最寄り駅を過ぎてしまうと、コンビニひとつ出てこない。が、「ALL100円!」と書いた、懐に優しい自動販売機が2つもある。キレートレモンも100円だ。たまにここでキレートレモンを買ってビタミンCを補給していた。が、その朝は、もっと水分の分量がほしくなり、水を買うことにした。

右の自動販売機の水は「富士山のバナジウム天然水」だ。
左は「○○○○○天然水」。
バナジウムはミネラルの一種で、血糖値を下げる効果が確認されているそうだ。つまり、太りにくくなるし万病予防に効くわけだ。すごいすごい。

しかし、どうにも買う気にならない。
なぜなら、我が家ではくまさんが山登りのついでにこの「富士山のバナジウム天然水」を汲んでくるので、日常的に飲んでいるからだ。お金を出して買う対象ではない。

ということで、○○○○○天然水にした。

ガタンと取り出し口に転がり出てきたペットボトルを取り出す。
キュンと冷えている。
すぐに飲みたくなった。
丁度信号待ちだ。
手にしていたカバンを肩にかけ、キャップを開けようとした。

……開かない。
ペットボトルがとても薄くて、クネッと動くのだ。
動かないように握りしめると、キャップが開いたとたんに水が飛び出しそうな気がする。
むむ。むむむ。
クネクネと動くペットボトルを何度も握り変えつつ、ようやくキャップを開けた。

紙コップやブリックパック、このペットボトルなど、柔らかいものを握る力加減というのは、実はとても高度な体の動きなのだ。だからブリックパックには「真ん中を持つと中身が飛び出すことがあるので、角をもってストローをさしてください」という趣旨の注意書きがしてある。このペットボトルには、そのような「安全ポイント」がない。きっと子どもやお年寄り、体の調整が難しい障がいのある方などを購買対象に考えていないのだろう。開けられない人は水筒をどうぞ、ということだろうか。 

このペットボトルが特別なのではなく、ゴミの減量のため、薄いペットボトルが増えているのはご存知の通りだ。
ペットボトルも薄いが、人情薄い話だ。
そう思ったら、この出来事をぜひブログに書こうと思ったのだった。 


ちなみに、もう10年以上、毎日バナジウム天然水を飲んでいる我が家の住人2名は、どちらも腹が薄くなるどころか、日々厚みを増している。






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