まずは合羽橋(かっぱばし)から行くことにした。
本を読みながら電車に揺られているうちに、ちょっとうとうと。
銀座線田原町駅に着いた。
合羽橋道具街。娯楽の殿堂。どこを見ても使ってみたい道具が山積みの街。
私は1年ぶり。くまさんは10年ぶりだそうだ。10年前に何を買いに来たのかと思ったら、巨大なスパイスの缶だったらしい。「パプリカの大きな缶を買いました!」ああ、そういえば、あったなぁ、そんなものが。ここまで買いに来ていたとは知らなかったけど。
私がプレゼントにおねだりしたのは、包丁だった。
これまで使っていた包丁は、私が最初の結婚をしたときに、弟から贈られたものだ。ゆえに、22年も使っていることになる。これは、すごい。最近は切れ味が悪く、研ぎに出しても大した変化は見られなくなった。なおかつ、気付いたら柄のところがパックリと割れていた。そろそろ引退させてもいいだろう。
新しい包丁がほしいというと、料理好きのくまさんは大乗り気で、だったらたくさんの中から選びたいということになって、合羽橋道具街につながったわけだ。
とはいえ、包丁を扱っているお店は、鍋や茶碗に比べると、それほど多くない。道具街を1周半。重さとか持った感触とか、インパクトとか値段とか、さまざま考え合わせて選ばれたのはこれだった。
翌日、百貨店で、簡易な箱に入った同じセットが何千円か高く売られているのをみかけた。くまさんは、この念の入った箱も気に入ったようで、何かに生かしたいと言う。もっと職人さんが使うようなものを欲しがるのかと思っていたが、案外そうでもなかったようだ。
ちなみに、帰宅して晩ご飯を作るのに、さっそく使ってみた。
ああ、なんと美しい切り口。材料に当てるだけでスッと切れる感動。料理の味まで変わることに、ふたりして歓声をあげてしまった。なまくらな道具を使っていては、美味しいものは作れないのね。
いい買い物をした!
ずいぶん歩きまわってお腹が空いたので、浅草寺近くへ食事に行こうということになった。目指すお店があった。
「あ、ここです、ここ!ここに立ってください!!」
くまさんが叫ぶ。
「写真、撮らなくていいんですか?」
いいんですかも何も、呼びとめたのはあなたでしょう。はいはい、撮りましょう。
そうなんですよね。合羽橋からはスカイツリーがよく見える。くまさんは、カメラで撮り、自分のケータイでも撮影して喜んでいる。
「なんだか、電線だらけでちょっと…」
私が聞えないように言ったのを、しっかり聞いていたらしい。
しばらく歩くと、また叫んでいる。
「ここです。ここなら文句なしですよ!!」
「はいはい。じゃ、も一度撮りましょう。」
近づきすぎて全体像が見えない…と思ったけど、それを言ったらお昼御飯が遠のくような禍々しい予感がしたので飲み込んだ。
さ、今日のお昼はとんかつですよ。
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コメント
コメント一覧 (4)
青鋼、白鋼ならば切れ味に、まず不満は出ないはずですが
すぐに刃先が欠けてしまいます
普段はセラミックで、適当に済ませていますが
材料によってはアルミケースを開きます
そうですね、なんだか難しいです。
刃先が欠けてしまうのも困るし、さびが出るから毎日研いでと言われても困ります。
今回のはステンレスと書いてありますが…。
セラミックは研げないと言われて悲しんだことがあります。
しばらくはこれで楽しみます!
ところでアルミケースの中にはどんなスグレモノが潜んでいるのでしょう?
父の会社の社長が、キッチン関連の事業もしていたんです。
業務用価格でお安く(笑)
ドイツに行ったときには、肉切り包丁を買い足しました。
でも、メーカーが思い出せない…。
何だったっけ???
おや、包丁を。やはり他人とは思えない
ドイツの刃物といえば、二人肩組んだようなマークのヘンケルスか
ゾーリンゲンか。
今回柄が割れた愛用の包丁はヘンケルスでした!