何度か登場している「でき過ぎ君」が今日の主役。
去年の夏から私のチームに入った彼は、本当に本当にいいやつだ。

同じ出身地というのも親近感の元だと思われるが、どうもそれだけでは語り尽くせない。

人生で初めて打ちこんだスポーツがアイスホッケーというあたりから、ちょっと個性的だ。少年時代のすべてをアイスホッケーに注いだのに、高校では野球部だという。なぜ?と問うと、答えがまた面白い。「家から通える高校にはアイスホッケー部がなかったんですよ。」なるほど、家>部活>アイスホッケー という不等式か。

ずば抜けた運動能力を買われて、経験者でもないのに、地域の名門野球部として著名な高校にスポーツ推薦で入学したそうだ。ところが、大学では別の種目に移ったという。なぜ?と問うと、答えがまたまた面白い。「今ジャイアンツに○○という投手がいますよね?彼と対戦したんですよ、何度か。でも、一度も打ち返せませんでした。彼がプロ入りした時に、こりゃ自分はプロの世界には入れないと思ったんですよ。だったら、大学から始めても日本一になれる種目を探そうって。」なるほど、日本一>経験スポーツ>家に変わったのか。

大学の専門はスポーツ医学だそうだ。 大学名を聞いて目を見張る。「野球しかしてませんでしたぁ」と言うが、それで入れる大学ではない。で、研究の傍ら部活の寮に入って生活。 今でもその種目を続けている彼は、全日本選手権に毎年出場するアスリートなのだ!!

とにかく、精神の強さが半端でない 。また、知識の多さ・深さには舌を巻くばかりだ。かつ、コミュニケーション力が高く、どんな話題でもとことん相談できる。しかも、誰とでもだ。そして、恵まれ過ぎた体力と行動力。仕事は頼めば、たいがいのことが2時間以内に完成している。しない時は、いつできるかの報告がある。だから私はコンセプトを熱く語って聞かせ、議論するだけだ。それだけですべてが形になって、次の相談にやってくる。

小池徹平−1加えて、表情がとても豊かで、見ていて飽きない。キラキラした大きな目がクリクリとよく動く。視野が広く、小さなことも見逃さない。視力、いいんですか?と尋ねると、レーシックを受けて以来、なんでもよく見えますと笑顔で答える。誰に似ているか?これは即答できる。小池徹平君だ。お、この写真なんかとても似ている。こんな顔が四六時中一緒にいるのだから、目の保養になることこの上ない。それだけでもありがたいってもんだ。

誰もが彼を好きになってしまうので、友達も多いようだ。自分の結婚式の翌週末に、友達の結婚式の二次会幹事をしていた。これを完璧にやったら、ちょっとイヤミなヤツになるが、ここのバランスが絶妙だ。「自分の結婚式と幹事だった二次会のレシートが混ざっちゃって、金額は間違えてないと思うけど、会計報告ができなくって、みんなに謝りました〜。そしたら、みんないいよって許してくれて。いい友達です!」なんて言う。

お客様にも絶大な人気がある。特に女性陣のアプローチはすごい。でも、真顔で「僕、妻がいますので。」「美味しいレストラン?お金がかかる女性は苦手です。」サラリというよりは、パシンパシンとかわしていく。小気味良いことこの上ない。

 
前置きが長くなった。年末のある日、珍しく時間のゆとりがあって、打ち合わせではないおしゃべりをしていた時だ。「ここに来て5か月経ちましたね、毎日毎日こき使わかれてウンザリでしょう、どんな気分ですか?」と聞いてみた。ま、彼の性格からいって、「ホントしんどいです。」なんて言うはずはないのだが。

「いやぁ、毎日が充実しています。やりがいがあります。飽きている暇も慣れている暇もありませんから!」
充実?このキーワード、先日聞いたばかりだ。そうか、君もこの、息つく間もない日常を充実と感じるのか!
「本当にそう思っているんですか?ナナはあんなだし、私もこの性格ですから、あれこれ口うるさいでしょう?イヤな時にはイヤだとはっきり言って下さらないと困ります。」
「いや、本気で言ってます。僕は行動はいくらでもできますが、見通しを立てるのが甘いのと、整理が苦手です。でも、メンタルは強いです。だから、気付いたことをその場でどんどん言ってくれる人と組む方がだし、得意なことを生かせるし、いい仕事させてもらえます。だから、何でも言ってもらえて助かっています。」

なんてよくできた青年だろう。息子といってもよいくらいの年齢差があるが、あっぱれとしか言いようがない。
彼もまた、Mさんと同じように、前向きな性格だからこういう言い方をするわけではないと思われる。これはもう本当に、生き方の問題なのだ。


ひとつ、信念がある。
自分の環境は自分の内面の鑑だ。
周囲に集まってくる人は、今の自分の内面をそのまま映したような人だ。

昨年の春までは玉石混淆だった。石を見て玉を見ない私の性格として、これを評価するのはなかなか難しかった。
ところが、夏あたりから、これが激変した。
でき過ぎ君がやってきたのだって、奇跡の上に奇跡が重なってのことだ。通常では決してありえない。そこまでして、私の前に現れたのかと思うと、必然と思わずにはいられない。
この素晴らしい人々は、いったい何なのだ?
誰も彼もが、この忙しい毎日を「充実」といい、今を「幸せで楽しい」と言う。
青色吐息で眠っているか仕事しているかしない私の周囲に、なぜこの人たちが来るのだろう?彼らと私の違いは何?

真剣に考えずにはいられなかった。

次回につづく。






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