小学生の時だ。
チャイムが鳴って授業が終わったと同時に、近くに立っていた担任が、短くなったチョークを私に手渡して、「投げとけ」と言った。

チョークをどこにどうして投げるのかわからなかったけど、素直な少女だった私は、言われたとおりに、座っていた一番後ろの席から黒板に向かってチビたチョークを全力投球した。

「お前、何やっているんだ!」担任は激怒した。
私は途方に暮れた。言われたとおりにしたのに、なぜこんなに怒られるのかさっぱりわからない。
「投げろって言うから投げたのに、どうしたらよかったんですか?」
「投げるといったらゴミ箱に入れるに決まっているだろう!」
「それは投げるじゃありません。捨てるです!」
その担任は、岩手の出身だった。



働き始めて間もなくだったろうか。
副担任だった私は教室整備を手伝っていた。ぐちゃぐちゃになったロッカーの上をどうにかしようと思った時だ。担任の先生が「そこ、直しといてください。」と言う。

どこか壊れているんだろうか?
ロッカーのあたりをいくら見ても、壊れた場所は見つからない。 
分からないことをうやむやにしてはいけないと思っていた情熱的な私は尋ねた。
「どこを直せばよいのでしょう。」
「はぁ?!」担任はあきれ顔だ。
「見ればわかるでしょう。」吐き捨てるように言うと、そのまま退室してしまった。

私は途方に暮れた。 このロッカーはどこも壊れていない。ついでに、教室全部確認したが、修理が必要な場所はどこにもなかった。
答えのない注文に戸惑っていると、担任が駆けもどってきた。
「ご、ごめん!直すじゃ通じないね。片付けてください〜!!」
彼は、大分の出身だった。



母の実家(宮城)に遊びに行った時、中学生や高校生だった従姉妹たちから「都会者の言葉は冷たくて、喧嘩しているみたいだから話したくない」という趣旨のことを言われて、いたく傷ついたことがある。じゃ、アナウンサーはみんな喧嘩しているみたいで嫌いなの?と言い返して、なおさらいじめられた。

方言はおもしろい。でも、ときどきちょっと困ってしまう。

義父母と初めて会った時、言われていることの意味が9割は分からなかった気がする。聞き取れないということもあるが、聞きとったところで、単語が違うので意味がわからないのだ。さらに、同じ言葉を発音することもできない。 独特のリズムに、標準語には存在しない中間母音がたくさんある。そのフングワッと鼻に抜ける表記しがたい曖昧な音は何なんだ!

henaga「体の中で『へ』から始まる場所はどこでしょう?」 
「はい!『へなが』!」
「ブッブー」

今年のくまさんへのクリスマスプレゼントはこれにしました。







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