冷たい雨の土曜日から一転、暖かな日曜日になった。
久しぶりに本屋できまぐれな本探しをしたくなり、昼前から外出した。
帰りに投票に行こう。
念のために着た分厚い上着は、たちまちいらなくなる予感がした。
足の裏が痛くなってから、もう4か月になる。砂糖断ちが1か月。膝や腿全体が痛み出してから2週間くらいになる。体を冷やしてしまうと痛みが増すから、自然と厚着になる。外に出たくなくなる。このところ、休日の外出はいつも車だ。
気温が少し高いというだけで、なんだか幸せな気持ちになってくる。
体の痛みも今日は少ない。いつの間にか癖になった全身の緊張がゆるんでくる。心地よい。
トレーナー姿の小学生たちがはしゃいでいて、ダウンジャケットを脇に抱えた女性たちが笑いながら歩いていく。小春日和はいいなぁと、また嬉しくなる。
誰もが同じ気持ちなのだろう。人出も多くて、どこも混雑している。
あちらこちらと休みなく動き回っているうちに、午後3時近くなった。
喉が渇いた。 お昼もまだだ。そうだ、久しく行っていないあのラーメン屋さんにしよう。
ここの鶏そばは美味しいのだ。
栄養補給をして、冷たいお水を飲んだら元気が出てきた。
もう一つ、本屋をまわろうか。
この元気がよかった。ここでとうとう、探していた本に出会えたのだ。
よし、よし。
思えば、土曜日に外出したら、日曜日はほとんど寝て暮らしていた。重たい疲れで、そうするしかなかった。けれども、世間の人々は、私が寝ている間にも、外に出て何か誰かに出会い、新たな経験を積んでいる。経験は人を育てる。私が寝床でいくら本を読んでも…それも大して読まないが…人生を変えるほどの経験にはならない。筋力も落ちる一方だ。
いつもと同じ場所へ出かけるだけでも、日が違えば経験も違う。いつもは行かない場所へなら、なおさらだ。 持っている体力・気力が乏しいから一層、こうして寝込まずに活動できる余力を残して働きたいものだと、しみじみ思う。
砂糖断ちを始めてから一度も行っていない、上島珈琲の生キャラメルミルクコーヒーが、ふと飲みたくなった。以前は仕事帰りのご褒美だったが、空腹時の甘いものは今も禁止だ。上島珈琲のはちょっと甘いから、食事の後でないと飲めない。丁度、昼食の後だ。これはチャンスかもしれない。
店内が混雑していたので、テイクアウトにした。あっという間に陽が傾き始めている。だんだん赤くなる空を見上げながら、外のベンチで熱くて甘いコーヒーを飲んだ。
柔らかな甘さが体に沁み通っていく。おいしい。
ぬるい空気が少しずつ冷えてゆくのを感じ、上着を着込んだが、胸のあたりがずっとホンワカ温かい。
ゆとりは温かい。温かいと育つ。冷たいと枯れる。
そういうことなのだなぁ。
一眼レフカメラを構えた男性が私の前に立ち、隠れようとする太陽を撮影していた。その姿を見ていて、今のこの伸びやかな気持ちを写真にするなら、この光景かもしれないと感じた。立ちあがり、ケータイを構えると、先に写真を撮り終え、なぜかこちらを見ていた男性に声をかけられた。
「絵に、なりますね。」
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コメント
コメント一覧 (4)
ステキな風景に 出会えましたね
同じ場所から見ても 二つと同じ風景は あり得ないのでしょうね
そう考えると その日のその瞬間が 愛おしく思えて来ますね
今年はほとんどなかった横浜日帰り出張ですが、
年明けから月イチペースくらいで入りそうです
新幹線の新横浜駅を降りた時、いつも冷やっと感じます
新神戸駅で早朝に乗った時の体感温度よりも
確実に低いと思うのです
晴れの日が多く、温暖で恵まれた環境に改めて感謝します
はい!
本当に胸にしみる素敵な光景でした。
いつも見ているのだけど、殊更によかったなぁ。
見知らぬ人だけど、その感動を分かち合いたくなった方がいたことが
また、いとおしい出来事でした。
寒がりなんですよ。
でも、それ以上に暑がりです。
だから、冬の方が夏よりずっと幸せです。
今年、沖縄から就職してきた青年が、毎朝青い顔をしています。
「信じられません。これ、何ですか?地球とは思えない。」
「まだまだ、雪も降ってませんし、これからですよ。」
「僕、死んでしまうかもしれない。」
「生きながらえたかったらコートとフリースをちゃんと買ってらっしゃい。」