先輩、その安住さんって人の何を知っているんですかぁ?顔がカッコいいとか、指がきれいとか、声が素敵とか、優しく声をかけてくれたとか、それって、先輩だけに向けられた特別なことではないですよねぇ。物理的条件が気に入ったってだけじゃないですかぁ。

それって、お金持ちだから好きっていうのと変わりませんよぉ。そんな人、本気で付き合ってくれるほうがおかしいっていうかぁ、危ないと思いますよぉ。本音を教えてくれたんだから、やっぱいい人じゃないですかぁ。なのに、先輩、人のせいにしてばかりで、ずるいですよぉ。」

瑠香の言葉は、けっこう厳しいのに、話し方のせいでしょうか、責められている気がしなくて、そうだよなぁと聞いてしまいました。思えば私は外見に一目惚れして以来、自分の「好き」という気持ちに集中していて、相手を知りたいとあまり思っていなかったことに今更ながら気付きました。

「瑠香ぁ!私、ダメだねぇ。」
「せんぱ〜い、それがずるいんですよぉ。ダメだねぇって言って、私に『ダメじゃないですよぉ』って言わせたいんですかぁ?それとも、ダメって反省できてる私はエライって安心したいですかぁ?どっちもずるいですぅ。先輩のこと大好きだけど、そういうところは好きじゃないですぅ。」

カウンター席に並んで座って、お互いの顔を見ていないから、こんな話もしやすいのでしょう。二人の間には店長おまかせの焼き鳥が並んでいました。小さなガラスのお猪口に、純米の”出羽桜”が何度も注がれています。この徳利が空になったら、次は”開運”にしよう…

「瑠香、教えて。私はどうしたらいいのかな。」
「自分で考えなきゃだめですよぉ。理由は何でも、本当に好きだったら、したいことがあるはずですぅ。それは自分だけしかわからないでしょう?人に教わって、その通りにやっても、自分でやったことにはなりませんよぉ。」

「そっか。そうだね。自分で考えて、自分で行動しなきゃね。」
「そうですよぉ。先輩にはいいところがいっぱいたくさんありますぅ。ほんとですよぉ。いろいろ辛いことが続いたから、自信がなくなっちゃってるかもしれないけど、先輩ずっと頑張ってましたぁ。うまく言えないけど、先輩、そんなに悪くないですよぉ。」







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