かわいい!
このマンションに越してきたとき、連れてきたのは1鉢に寄せ植えしたサボテンと、シャコバサボテン2鉢、小さなスイセンのプランターだけだった。手間をかけないし、うまくも咲かせられない。緑の指ではないのだ。

帰宅道を歩いている時、ふと目にとまった花があった。可憐ですがすがしい印象のその花が球根から咲かせられることを家に着く前のガーデンショップで知った。小さな球根をコロコロと10個ほど衝動買いして植えてから3度目の夏を迎えたわけだ。

最初の年は植えたのが遅かったらしく、葉は出たものの何も咲かなかった。思い出した時に水をやるだけの日々。2年目はそれでも2つ花をつけた。けれど、最初に見かけた時の1/3くらいの小さな花だった。それでも、やはり可憐ですがすがしかった。

人は、年を重ねるごとに思いを深めるものらしい。慈しむとは思うだけではだめなのだと分かることがあって、それを鉢にも適用することにした。何のことはない、液体肥料を買ってきて、週末、水に混ぜるようにしただけだ。

強風、乾燥、炎天下。劣悪な条件下でたまに肥料をもらったとて、いかほどのことがあろうと思ったけれど、今年はついに6つも花を咲かせた。もしかしたらこの先も咲くのかもしれない。相変わらず小さいけれど、色鮮やかですがすがしいのは変わらない。

文句も言わず、今いる場所で花を咲かせるその姿に、なんとも言えない感慨を覚える。もっと適した場所で育つなら、もっと大きな花を咲かせるのだろう。でも、ここならここで精一杯咲く。見習った方が幸せな人生になりそうだ。

でも、ふと、思う。文句を言っていないのではなくて、文句を聞きとる耳を、私が持っていないだけなんじゃないだろうか。名前ぐらい呼んでよとか。ねえ、そうなの?
花は頷くように揺れただけ。






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