「あのぉ、お声掛けしてよろしいでしょうか?」
なんて美しい日本語だろう。管理職の机の前に並んだパソコンで仕事をしていた私は、耳が吸い寄せられるようにその言葉をつかまえた。
「ああ、いいですね。その言い方も、声も、そういう言葉かけの必要を知っていることも、とてもいいですね。」
思わず、賛辞を送った。
今年採用されたばかりの女性が、管理職に向かってかけた声だった。
管理職も優しい笑顔で彼女の言葉を受けている。
あまり器用ではなく、仕事ものんびりの彼女だけど、この言葉はステキ。
「あら、Hikariさんに誉められちゃったわよ。よかったわねぇ。」
管理職は彼女と私を両方一度にからかってから、言葉を添えた。
「今のその気持ちと習慣、何年たっても忘れないでね。」
そうなのだ。そこが大切なのだなぁ。
「本当、反省です。私なんて図々しくなっちゃって、お忙しいと分かっていても、聞いてくれなきゃ困ります!みたいな勢いで突っ込んでいきますもん。」
「そうしてくれないと、いつまでも話せないって状況もありますからね。」と管理職は、既に別の書類に目を通しながら返事をする。本当はパソコンが終わったら話し合わなくてはならない用事があったのだけど、言い出せない。
「あのぉ、お声掛けしてもよろしいでしょうか?」
恐る恐る私が言うと、管理職2人は同時にお顔をあげて、爆笑し、背筋を伸ばして座り直す。「よしっ。よく言えました。なんでも聞くわよ!!」
なんです?その気合は??
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コメント
コメント一覧 (2)
すばらしい言葉を使ったりしますと、好評価を得ますね
常に当然と思われる位置のかたは、
しくじれば落胆を周囲に与えるでしょうし・・・
ま、人間はとんとんかな…と思っております
今日は昼間、ベテラン看護師と話す機会がありました
お住まいにまで送り届け、すぐに休まるそうですが
その時点で30時間、起きていらっしゃいます
みなさん、とんでもない条件下で働いていらっしゃいますね
確かに、新人は何をしても出来れば評価、
私みたいなカビが生えそうな古株は
できて当たり前、できなきゃ落胆どころか怒りを買います。
ま、かつていっぱい誉めてもらったし、
それが組織で生きる責任というものでしょう。
文句言うより、それでも誉められるように
わらっていられる柔らかさを身につけたいです。
とんでもない条件下で働いている人がいるから
それを知らない人たちの生活が
安心・安全・快適なのかもしれませんね。