なにっ
お詫びのメールだった。腹が立つ。がっかりだ。返信を打つ手が止まる。いつも即返信の私から30分以上も返事がないのだから、先方も気をもんでいるだろう。

感情をメールに託して送るのは危険だ。特にそれがマイナス感情の時には。言葉は独り歩きする。言葉の力を信じている私は、しばし気持ちとケータイを持て余す。いっそ無視しようか。

これまでの私なら、ここは心を落ち着けて、大人の女らしい返信をするところだ。相手はすでに非を詫びている。怒りをぐっとこらえて、「反省してくれればいいです。もう繰り返さないでくださいね。」最後の「ね」が大事だ。これ一文字で全体が和らぐ。

しかし、今回はどうしても心も指も、そんなメールは打てるものかと拒絶する。実際、私は心底怒っている。でも、相手からは私の顔も声も見えないし聴こえない。今後の展開は私次第だ。大人の女か?無視か?それとも…

私は、過去の自分にはあり得ない、第3の選択肢を選んだ。「ひどい!がっくりだよ!」怒りまくりの絵文字3種類付き。それも、もとからケータイに入っているやつではなく、わざわざサイトからダウンロードした、特別バージョンだ。

もらった方も驚いただろう。返信が来たのは1日たってからで、さらに丁寧に詫びる文章だった。怒りが収まっていなかった私は、さらに追い打ちをかける。今度は冷静に非を分析し、反省を促す短文だ。こういう時の私の短文は我ながら迫力がある。

怒りは苦しみに通じる。我から望んで苦しみを抱えることもない。でも、最初から怒りを感じないならともかく、感じている怒りを隠すことが、なによりも自分を苦しめることに気付いたのだ。怒っている自分も、まさしく自分自身だから。





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