ナナのことは、基本的には「叱る」という方法をとらない。叱られて分かるのは、それではまずいと自分でそこそこ気付いている時だけ。気付きもしない、気付かされても受け入れられない人を叱っても、反感を買うだけで身にはならない。

気付けない脳の持ち主だから気付かないのだとなると、言い聞かせるのでさえ、意味がないような気がしてくる。しかし、出来事には本当に腹が立つ。だから余計に、声を荒げる自分が腹いせしているような気がしてきて自己嫌悪を感じる。

前年度ナナがいたチームのチーフは、この精神的苦痛に耐えかねて壊れてしまった。年度半ばで療養休暇に入って、今も復帰していない。あなたのことは絶対に壊さないと管理職は私に言う。当たり前。犠牲になんかなるもんか。

まず、私の言葉が、ナナの心と知能とに、できるだけ深く届くようにしなくてはならない。そのためには、絶対的な信頼を勝ち取る必要がある。次に、ナナにもわかる指示の出し方、振り返り、次回の行動の指示。腕の見せ所だ。

ナナは実際、私の言葉を忠実に聞こうという姿勢を見せている。前チーフにはことごとく反抗的で、いじめられていると言いふらして歩いた実績があるのに比べると、雲泥の差だと思われる。ここはキープしたい。

ナナには、自分の得意は何か、不得意は何か、自分が同僚やお客様にとってどういう存在なのか、現実をしっかりと理解してほしい。そして、自分の得意を生かし、もっと自信を持って生きられる場を得てほしい。それは、多分、ここではない。

「あなただって、こんなに失敗だらけの仕事でなくて、もっと楽しく働けるような仕事をしていいんですよ。」こんな遠回しな表現が伝わるわけもない。「はい!私、失敗ばかり気にしてしまうので、明日から失敗には目を向けず、小さくてもできたことだけ大事にしたいと思います!!」






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