「こういう時、どう判断したらいいか分からないんです。」

相談を受けるのは私の大きな仕事のひとつだ。だから、何を尋ねてもいい。

が、何にでも答えていいかというと、それは別の問題だ。

世の中には、自分で努力して答えをつかまなくてはならない問題というものが確実に存在している。

自分で考えたいから思考整理を手伝ってください、という趣旨なら手伝うが、手っ取り早く答えだけ知りたいようなものには答えないようにしている。

答えにたどり着いた時の喜びをその人から奪ってはならないのである。



ところが、それは手に余るだろうからちょっと教えようかと思うようなことでも、相談があまりに突然で、情報整理が追いつかず、答えられない時がある。

この人にいずれ相談することになるかもと思うなら、日頃から細かな連絡をしておくことが、相談をスムーズに進める秘訣になる。組織で働く社会人の基礎だ。

手っ取り早く答えを知りたいから教えて、というような、「相手が手抜きをするための相談」や、相手が答えを受け止める準備ができていないことにも答えていたら、私が体を壊してしまった。

相手から発見の喜びを奪ったので、罰があたったんだろう。

反省してからは、「それはあなたが考える(決める)部分ですよ」と答えることにした。

すると、言っていることに間違いはないと思うのだけど、「ひどい、冷たい」という視線を浴びたり、はっきり言われたりもすることがわかった。黙ってポロポロ涙をこぼされた日には、自分がしていることへの自信も揺らいで、これがまた疲れる原因になった。

いろいろ考えて、別の言い方を思いついた。

それだと、相手は私から「すごいですね」と認められ、私は相手から「ありがとうございます」と感謝される。双方円満。しかも笑顔になれる。

これが分かって、どんな相談を受けても、かなり大丈夫になれた。

ま、非合法の相談にはまったく応じられませんが。



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でも、ホウレンソウのしかたがいいから「ありがとう」と言われたわけではなさそうなんだけど…