ブログネタ
「自分を動物に例えなさい」どう答える? に参加中!

12月のある朝のこと。

口の悪い青年がやってきた。

開口一番「ババァ、今朝は昨日より老けてんなぁ。」



はぁ

ふざけるんじゃない。

君の口が悪いのは百も承知している。

うら若いとは言わないが、ババァ呼ばわりされる年でもないというのに、そう呼ばれることにちょっと慣れてきたのも腹立たしい。

だいたい、疲れの色濃く、昨日より化粧のノリが悪かったと自覚している女性に対して、そんなに的確に指摘することが許されると思っているのか?

その的確さがムカつくのよ。

こういうガキには、大人の世界のルールを教えてやらにゃならんな。

よし。



「あのねぇ、朝会ったらまず『おはようございます』でしょうが。

それに、私はババァじゃない。
名前を呼びなさい。
どうせ呼び捨てでしょうけど。

それに、『おはよう』より先に『老けてんなぁ』って何?
そんなこと言われたらどんな気がする?

『昨日より』と比較されてたら、聞いてる方も『そうなのかな?』って思っちゃうでしょう?

私の一日の始まりがどんよりして、今日はずっと暗い気分。

あ〜残念だ残念だ。

どうせなら、一日が明るい気分になるようなこと言いなさいよ。」



青年は真顔で聞いて、ちょっと考え込んだ。

ふふん。勝ったぞ。

反省しなさい。



「あのさぁ。」

「なぁに?」

「おはよう。」

「はい、おはようございます。」

「お前さぁ…」

「お前?

「お前、カピバラに似てんな。

「カピ・・・・」

「知ってる?」

「知ってる。でっかいネズミでしょ?世界一の巨大ネズミ。温泉入るヤツ。」

「うん。似てる。」

「……君ねぇ。……………………………カピバラ…」

「あ、カピバラはかわいいぞっ。うん、かわいい、かわいい。」

「そっか。確かに私もカピバラさんは大好きだ。まぁ、許してあげる。」

「よっしゃ〜



昨日、今年の仕事が始まった。

机に溜まった書類を分類しながらふと、あの朝のことを思い出した。

カピバラ親子奇妙に温かい、脱力系敗北感。

あ〜シャボテン公園に行きたい。





                                
2007.12.16撮影



人気ブログランキングへ