Win-Win

あなたも幸せ。私も幸せ。

2012年07月


暑い。痛い。休めない。
これで機嫌がよいはずがない。
しかし、こういう時に限って、来客ピークだったりする。ああ

月曜日のこと。
先週金曜に、背中の筋肉が断裂したらしい怪我をした。
いきさつは語れないが、ま、とにかく痛い。冷やすと楽だけど動くとギェッとなる。

荷物を減らすことにした。職場に置いてあるＴシャツでいいや。
わざわざ考えたのは、着替えている間がない時間帯に初対面の大事な来客が予定されていたから。相手もこちらの仕事のことはわかっているので、スーツでなくてもいいとは思うけど。

ところが、職場のロッカーを確認すると、めんどく星人Ｔシャツしか入っていない。

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実態を的確に表しているけど、このピンクはいかん。









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事実だが、初対面で告白することもなかろう。









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すみません、反省はしているのですが、
今回の件を後回しにしたのはあなたですし。








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まるで手土産を要求しいてるようではないか？









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いえ、していただかないと困るんです。









どうも、ふさわしいのは一枚もない。ま、考えるまでもなく当然だった。
ロッカーをさらにゴソゴソすると、奥から黒Ｔシャツがでてきた。
これならいけるかな？？

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最近みかけないと思ったら、こんなところにいたか。
いけません。これはいけない。
背中を見せたら終わりです。
初対面でそんな冒険しないでもよいだろう。




だんだん汗が噴き出した。まずい。
結局さらに奥を探して、２年前のイベントで作った手染めＴシャツを発見した。地獄で仏とはこのこと。助かった〜。

教訓。
おふざけはほどほどにしましょう。
……ロッカーの整理は大事だけど、今回救われたのは整理がヘタだから。
自分の特性は認めて大事にしよう。

チャンチャン。






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以前も書いた気がするが、仕事場では通勤服を着替えてジャージがユニフォームになる。こう暑くなってくると上はＴシャツ１枚。わが愛するメッセージＴシャツが連日登場する。 最近のお気に入りはこれ。 
やればできるけどやらない Tシャツ Pure Color Print(ライム):オリジナルキャラクター「めんどく星人」のやる気のない言葉シリーズ。 やればできるんだけど、あえてやらないだけなんです！ by AWA-WORLD:ゆるいキャラクター作ってます。 
http://clubt.jp/shop/S0000034591.html こちらから購入した。ＳからＸＸＬまである。私はゆったり着るのが好きだから、いつもＭを注文する。この「めんどく星人」がつぶやく、やる気のない一言と脱力系のイラストは、職場でも結構ファンが多い。「今日はなんですか？」と朝からチェックが入る。新作を着ていると、たくさん一言コメントをいただく。

いつの間にか、職場全体でメッセージＴシャツを着ている人が増えた。昨年はこんなふざけたのを着ているのは私だけだったのに。あちらのチーム�癸韻里靴箸笋�な彼女が着ている黒いＴシャツの背中には「今夜はビールがうまい！」と大きなジョッキの絵が描いてある。一生懸命働く彼女らしい。

こちらのチームの若手の背中には「全力疾走」。気持ちはわかる。実際、そういう気分だろうし。「本音は”全力失踪”したいじゃないの？」と先輩にからかわれている姿も微笑ましい。

ところが。そこにひとりの男性がいる。彼は私の１歳年上。仕事ができないことと奇矯な振る舞いが多いことで有名な人物だ。傷口に塩を塗るような、問題を大問題に発展させるようなことがあまりにも多い。今年は大きな配置転換があり、昨年私と同じ部署にいたが、別の部署に飛ばされてしまった。

が、飛んだ先でチームを組んだ人が先日から療養休暇に入ってしまった。チームはピンチだ。職場中のだれもが心配しているさなか、彼は突然メッセージＴシャツを着てきた。背中に大書された文字は『悠々自適』。

たぶん悪意はない。ピンチだからこそ力を抜いて頑張ろうという気持なのだろう。しかし、だ。誰の影響で療休者が出たのだと思う？必死で働く人が「ビールがうまい」というから笑えるのだ。やってもできなさそうなことまでやっている人間が着るから「やらない」を見てウケてもらえるのだ。マイペースすぎて周囲を倒れさせた人がそれ着てどうする？

イラつく周囲を眺めながら、困ったことだと思っていたら、
「あれね、きっとHikariさんの真似よ。去年から着てみたいって言ってたもん。」
ぎゃ〜〜〜〜





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不愉快な出来事だった。どう考えても自分のせいとは思われない。４月からずっと、不愉快な出来事続きだが、これは極めつけだった。冷静に「そういう時はこうしてください。私は気分がとても悪いので、あなたとは当分お話しできないかもしれません。」とはっきり言えたことを褒めてあげたい。

翌日一日、勉強部屋に立てこもってひとりきりで過ごした。久しぶりにひとりになって、眠るのとは違った心の休憩に少しホッとした。しかし、ショックは大きかった。音楽を聴く気にもならず、ましてテレビなど。翌朝の放送を楽しみにしていたサッカーの決勝戦さえ忘れたほどだった。

しかし、私にそこまで不愉快な思いをさせた人からは、お詫びのひとこともない。いい歳をした社会人に、こんな失礼が許されるのだろうか？この出来事の前まで、私を不快にさせていたのは別の人物だが、 超多忙な私の時間をずいぶんと使って知恵を借りておきながら、感謝の言葉も、その後の報告もないことだった。

仲が良いとはいえ無礼さに怒りをおぼえ、さりげなくメールを送ってみたが無視された。もちろんメールの返信をするかしないかは相手次第。私が腹を立てるのは筋違いだと分かっている。が、単なる無礼より私を軽んじる気持ちを見た気がして本当に腹が立つ。ナナでさえ「すみませんでした」「ありがとうございます」は言えるんだぞ。

翌朝、不思議な光景を見た。プランターで例の名前を知らない花が４つ、唐突につぼみをつけていたのだ。それまで、１つずつ、パラパラと出たにすぎない。同時に２つ咲いたとしてもどちらかが先で、同日ということはなかった。へぇぇ。しかも、一昨日お水をあげたときは、つぼみのカケラもなかったのに？

ふと、おかしなことを考えた。神様は実はちょっと寂しがりやで、私たちが受信するはずのメールを、ときどき 自分宛のメールに変えて読んでいらっしゃるのかもしれない。だから、私が送った「ちゃんとできた？」のメールも、あの人たちの「すみませんでした」も「ありがとう」も、実は送信されたけど受信したのは神様で、相手のところには届かなかったのかもしれない。

だとしたら、相手からの返事は来なくても当然だ。代わりに神様から何か返事が来ているかもしれない。プランターで、これまでになく大輪の色濃い花が４つこちらを向いている光景に眼が吸い寄せられた。これか？なんて言っているのかな。なぜ４つなのだろう？？あの言葉、この言葉、どれも字数が合わない。

・・・・「ご・め・ん・ね」
はまった。これね。
わかったわ、神様。ちゃんと謝れたから、あなたのことだけは許して差し上げます。





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歯医者さんは予約の時間通りに呼び出してくれ、ほとんど待つことなしに、外れてしまった金属を元通りに戻してくれた。この金属のはまり具合を見て、先生が唸る。「素晴らしい適合ですね。」その金属を作ってくれた先生はとんでもない凄腕だった。そして今、この病院にいないのだ。

 彼は、歯科大学で学生に教えている先生だった。治療していないと腕が落ちるからと、決まった曜日だけ診療に来ていた。その先生に当たったのは偶然だけど、他の病院でいくら治療しても歯ぐきの膿が止まらなかった歯を、抜かずに治してほしいという私のわがままに本気で付き合ってくれた。

「これ、抜かずに治せたら論文書けるかもね」なんて、いつも明るい。大きなマスクをしていて、眼だけが見える。その眼がものすごく優しくて、いつもキラキラしていた。きれいな眼だなぁ。つい覗き込んでしまい、「やりにくいから天井見ててくださいよぉ」と笑われたことがある。

金属ができると、その調整は精緻を極めた。私がよいと言っても、先生がよいと言わない。仮止めで３週にわたり調整したこともある。当然、通う回数は増える。でも、人気の先生で、頑張っても週に１度しか予約が取れない。 およそ２年にわたって通うハメになった。

春夏秋冬、ほとんど毎週会っていたけど、特に何か話したわけでもない。当たり前だ。私は口を開けていて、何一つ話せる状況ではない。あの、眼だ。レントゲンだとか言われて立つと、私より小柄なことがわかった以外、情報はない。そうそう、伊藤先生だった。イメージの中で、伊藤先生は伊藤英明さんみたいな顔になっていた。

２年かかった治療がようやく終わる頃、先生はアメリカの大学に招かれて、数年そちらへ行ったきりになることが決まった。病院も辞めるとおっしゃる。残念だが、治療が終わればもとよりお会いすることもない。イケメン先生に丁重にお礼を申し上げてお別れした。ちょっとさみしい。クリスマスの少し前の出来事だ。

数日後、駅から少し歩いたところで 見知らぬ男性に呼び止められた。会ったこともない。なのにやけに親しげに手を振り、こちらにやってくる。思わず周囲を確認したが、私しかいない。誰だろう？お笑い芸人の岩尾望さんみたいなその人のことは、いくら頭を回転させても記憶にない。でも、この眼、どこかで…

「歯の具合はいかがですか？」
え？あ！
あ〜〜〜〜っ





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年に一度、決まった日に花を贈る。すると、受け取り手から、年に一度、決まってハムが届く。最初は佃煮とかスープとかだった気がするが、ここのところずっとハムだ。このハムがとても美味しい。

花が届きましたという連絡は来ない。代わりに、２カ月後くらいにハムが届く。 以前は、礼状を書いていた私も、いつからか書かなくなった。代わりに、次の年、きっと思い出して花を贈る。いや、忘れられるはずもない。

今年もハムが届いた。少し贅沢な厚みに切って、両面を軽く炙って黒コショウをふるのが、好みのいただき方だ。今回もそれでいただこうと見たら、なんとローストビーフではないか。トリュフが香るソースも付いている。

大事に食べたくて、２枚ほど切って食べてみた。疲れた体に濃い味が染みる。
ガリッ。
禍々しい予感をもたらす音がした。歯にかぶせてある金属がとれてしまったのだ。 

前歯の少し右脇。いかにも気になる。しかし、予定が詰まっていて、すぐ歯医者に行くのは難しい。困ったけど、週末まで我慢だ。土曜日なら、なんとかなるかもしれない。

２日後の今夜。遅くに帰宅したら、すでに残りのローストビーフが切られていた。今夜はちょっとたくさん食べてしまおうか。
ガリッ。

なんということか。禍々しい音がまたしたではないか。
今度は左の奥歯だ。 
明日、歯医者に行こう。何も食べられないじゃないか。





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いわゆる、取り込み中だった。だから、音がするまでは、気付いてさえいなかった。その店の出口を通った時、数台の自転車を目にしていた。無秩序に止まった自転車をよけるほど狭くもなかったので、自転車だと思っただけだった。

確かに、風が強く吹いていた。ああでもない、こうでもないと大声で真剣に話し合っていた私の耳に最初に聞こえたのは、自転車が倒れる音だった。ガシャガシャと、２台めの自転車が倒れる音が聞こえて、振り向いた。

自転車に完全に背を向けていた私が振り返って最初に見たものは、赤ちゃん籠がついた自転車がスローモーションで倒れるところ。しかも、その籠には赤ちゃんが乗っていた。ゴツッという鈍い音と、赤ちゃんの後頭部がアスファルトに跳ね返るのが見えたのは同時だった。

もう何秒か早く見ていてら、きっと体が動いて、赤ちゃんを助けられたかも知れない気がする。ああ、それでも、間に合わなかったろうか。赤ちゃんは火がついたように泣きだし、一番にかけつけた私が抱き上げようとしたけれど、足が籠に絡んで起こせなかった。そこへ、蒼白になった母親が駆け戻ってきた。

母親が赤ちゃんを抱き、私が足をほどいて、ようやく自転車から持ち上げることができた。後頭部から落ちましたよと言っても、母親は茫然として、確認もしない。私が頭をさわって、傷を確かめる。切れてはいなかった。が、頭の場合、それがかえって徒となることがある。

私の末の弟は、１歳の誕生日を迎える１か月前に、玄関の段差からコツンと落ちたことがある。ギャ〜と泣いて、切り傷もなく、しばらくして泣きやんだので母は油断した。夜になってたんこぶができ、翌朝になったら頭が1.5倍に腫れていた。頭蓋骨骨折。頭の中に血瘤ができていた。重症だった。

気をつけてあげてください。すぐには腫れなくても、あとから大きく腫れることもあります。私の弟は頭蓋骨骨折でした。そう話すと、母親は我に返ったように赤ちゃんの頭をさすり始めた。泣きやまない赤ちゃんを、出てきた店員も遠巻きに見ているだけだった。

今頃、どうしているだろう。無事だろうか。びっくりして、痛くて怖かったろうな。
お母さん、子供を残して買い物に行くのはやめましょうね。それがとっても大変なことは、重々承知しているけれど。






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