Win-Win

あなたも幸せ。私も幸せ。

2012年04月


完成度を望む7割に落とすと、達成は楽になるが、当然ながら達成感はない。私本来の仕事ぶりを知っている人から「あなたがいながら、これは何?」なんて言われると、切なくて涙がこぼれそうになる。

問題はナナだけではない。チームのほかのメンバーがみな新人なのだ。あらゆることを、あれはこうして、これはこういう事情でこうなって…と、言葉にして説明していかなくてはならない。非常に疲れる。

チームのこと以外でも、たくさん仕事を抱えている私は、休憩も取らず分刻みで打ち合わせに出ていく。そこにトラブルが起き、外部との交渉が必要になっても、チームの新人にはまだ無理で、一番の経験者であるナナには任せられない。そればかりは、管理職もNO!という。

他のチームの何倍もの事件を抱えて、新人たちは日々たくましく育っている。文字通りのサバイバルだ。私は日に日に疲れ、弱っていく。不意の来客、予定の来客がブッキングする。どちらも重たすぎて対応できるのは私だけ。もう死にそうになる。

倒れそうな頭痛と鉛のように重たくなった体で、お客様をお見送りし、机に戻ると、隣の席でナナがお菓子を食べている。時計を見るともう勤務時間外だ。咎めることもないのだが、小さく落胆する。ナナは肌のつやがいいなぁ。私は心もお肌もカサカサなのに。

なぜナナはこんなに元気なんだろう。毎日毎日失敗して、失敗ばかり気にしていると言いながら、なぜこんなに平気なんだろう。専門医の話では、うつ病スケールも極端に低く、うつ病リスクはほとんどないらしい。ここが、同じ特性を持つ人々とナナが大きく異なる点だ。なぜだ??





人気ブログランキングへ ←ポチッと応援、お願いします!


もしも「うつ病リスク」に関心がおありなら、こちらのようなサイトが興味深いですよ。ちなみにHikariは今のところ58点でした。


人は誰でも、誰かにとっての環境である。会議の場でも、電車の中でも、家族の中でも、そこに自分以外の人がいたら、その人にとって私は環境の一部なのだ。いったい、自分はどんな環境でありたい?

なんとなく感じていたこのことが、人に伝えられるほど明確になったのは、昨年度、新人教育担当をしたからだった。着る物の色、話声のトーン、話題、しぐさ…何もかもが雰囲気を作り出す。ある人は居心地良く、ある人は逃げたくなるような。

そして、人は無意味な出来事には出会わない。自分がその体験をしているということは、その体験が自分にとって必要だったからだということだ。では、なぜ必要なのか。それがわかると、体験から受けるあらゆるものが恩恵になる。

ならば、私がナナに出会って、教育担当をしているというのも、私にとって意味のある体験だということだ。そうして、その意味を解明した時には、私が今味わっている苦痛や悲しみは、すべて恩恵になるのだろう。

それは、逆から考えてみれば、ナナにとっても私は環境の一部であり、私と出会ったことがナナにとって必要不可欠な意味を持っているのだろう。では、私はナナのどのような環境になり、どのような意味をフィードバックできるのか。

ナナと仕事を始めてわずか10日で私がまずたどり着いたのは、理想を手放すことだった。私が私の理想の状態に固執する限り、そしてそれをナナがいる場で目指す限り、理想には到達せず、ナナにはその理想を見ることすらできず、互いに常に挫折し続けることになる。

7割でいい。私がごく一般的な仲間たちと組んでやれば達成できることの7割できたら合格にしよう。ベテランたちと組んでインスパイアされた時に達成されるものを求めたりはしない。合格ラインが足の下にできた私は、これでかなり楽になったけれど、ナナにとってはまだラインがはるか頭上のようだ。






人気ブログランキングへ ←ポチッと応援、お願いします!


ナナのことは、基本的には「叱る」という方法をとらない。叱られて分かるのは、それではまずいと自分でそこそこ気付いている時だけ。気付きもしない、気付かされても受け入れられない人を叱っても、反感を買うだけで身にはならない。

気付けない脳の持ち主だから気付かないのだとなると、言い聞かせるのでさえ、意味がないような気がしてくる。しかし、出来事には本当に腹が立つ。だから余計に、声を荒げる自分が腹いせしているような気がしてきて自己嫌悪を感じる。

前年度ナナがいたチームのチーフは、この精神的苦痛に耐えかねて壊れてしまった。年度半ばで療養休暇に入って、今も復帰していない。あなたのことは絶対に壊さないと管理職は私に言う。当たり前。犠牲になんかなるもんか。

まず、私の言葉が、ナナの心と知能とに、できるだけ深く届くようにしなくてはならない。そのためには、絶対的な信頼を勝ち取る必要がある。次に、ナナにもわかる指示の出し方、振り返り、次回の行動の指示。腕の見せ所だ。

ナナは実際、私の言葉を忠実に聞こうという姿勢を見せている。前チーフにはことごとく反抗的で、いじめられていると言いふらして歩いた実績があるのに比べると、雲泥の差だと思われる。ここはキープしたい。

ナナには、自分の得意は何か、不得意は何か、自分が同僚やお客様にとってどういう存在なのか、現実をしっかりと理解してほしい。そして、自分の得意を生かし、もっと自信を持って生きられる場を得てほしい。それは、多分、ここではない。

「あなただって、こんなに失敗だらけの仕事でなくて、もっと楽しく働けるような仕事をしていいんですよ。」こんな遠回しな表現が伝わるわけもない。「はい!私、失敗ばかり気にしてしまうので、明日から失敗には目を向けず、小さくてもできたことだけ大事にしたいと思います!!」






人気ブログランキングへ ←ポチッと応援、お願いします!


お客様がポロポロと大粒の涙をこぼして泣き出した。それでもナナは言葉のシャワーを浴びせかけながら、自分の主張を曲げようとしない。確かに、手順書通りならそうだろう。しかし、目の前のお客様を見たら、そんな無理強いはできないだろうに。

私の心が悲鳴を上げる。もう、黙って見ていられない。「ちょっと待って。今、お客様が泣いていることに気付いている?」「はい、わがままをおっしゃっていると思います。」泣いているんだぞ。その上、本人の前でそんなことを平然と言うか。

「わがままではありませんよ。」私はお客様の気持ちを代弁する。「つまり、あなたの初期対応からずっと耐えていらしたけれど、もう我慢できなくなられたのですよ。」ここまで言われてやっと理解したナナは、どうしていいか分からない。

私が代わってお客様にお話しする。「申し訳ありませんでした。お辛い気持ちにさせてしまいました。」お客様は涙をぬぐいながらおっしゃる。「わかってくださればいいのです。今後はあなたとお話ししたいです。」また私の仕事が増える。

もしも私の仕事が、ナナのような特性を持った人が社会の一員として生きていくための支援をすることであれば、それはそれでいい。しかし、私には本来の職務があり、ナナの支援は業務外といえる。OJTが大切なことはわかるが、限度を超えている。

しかも、私が今回負っている特殊任務は、ナナを支援することですらない。ナナがどのくらい「できないか」を明確にすることなのだ!つまり、失敗直前に修正するのではなく、失敗するまで見守って、事情を聞き、後始末をする。

目の前で、私の理想が崩され、お客様が傷つき、問題が発生する。かみ合わない会話、こじれた事故処理。どれだけ辛いか。それを繰り返しても、ナナに変化は見られない。当然だ。変化が見られないことを証明するための毎日なのだから。





人気ブログランキングへ ←ポチッと応援、お願いします!


ある程度経験を積むと、その人がそうであるのは、持って生まれた性質か育ち方の問題か、見分けがつくようになる。ところが、世間一般では、持って生まれた性質で、何かが極端にできないことをものすごく嫌う傾向がある。

嫌うあまり、親であっても、子供の脳の発達に偏りがあって、特定の分野が成長できない脳の持ち主であり、本人は実に生き難い思いをしていることに気付かない。気付こうとしない。気付かされると否定する。ま、親だからだろうけど。

親の育て方の影響で、よろしくない思考・行動習慣を身に付けたから現状がある、ということであれば、よりよい思考・行動習慣を身につけ直せばよいことになる。このケースでは、本人がその気になりさえすれば、問題は解決する。

育て方というより、経験不足だからこうなんだろうなというケースも多い。毎日ゲーム機しか見ていない若者がいきなり人間だらけの会社でコミュニケーションをとれと言われてもうまくいかない。このケースでは時間が問題を解決する。

ところが、脳機能の特性となると、親がどう育てようと、どれだけ経験を積もうと、その分野の問題がヤル気や時間で解消したりはしない。特別なやり方をする必要がある。それでも、問題をゼロにすることは難しい。

この領域になると、個人差も大切な要素になる。どの分野がどの程度苦手で、生活にどのような支障がでているかを細かく的確に見極めて、手だてを講じる必要がある。つまり、とっても手間がかかるのだ。

「そこのポット、昨日のお湯が残ったままだから洗っておいて。」と言われたナナは、電気ポットを台所洗剤で丸洗いした。びしょぬれのポットに水をたたえて、コンセントを差す。ショートしなくてよかった。飛び出して叱る私を不満げに見返すナナ…





人気ブログランキング←人気ブログランキング 応援お願いします!


「お客様を見てください。」
こう指示されたということは、お客様のお世話をしてくださいという意味になる。ところがナナは、ほんとうに、ただ、見ている。

「すぐに、皆様をお部屋へご案内してください。」
こう指示されたら、たいていの同業者はこの場にいてはまずいと判断する。
ところがナナは、なぜ今部屋へご案内なのかわからず、ずっとそこにいる。

「そんな言い方された相手の気持ちになってごらん。たとえばあなたが言われたらどうです?私、いつもあなたを叱ってばかりですけど、どんな気分?」
「正直、ものすごく気分悪いです!」

ああ、そうでしょうとも。
「でしょう?でもね、あなたの気分はどうでもいいんです。なぜなら、私たちはお給料をいただいて仕事をしているんです。お客様を傷つけてはダメなの!」

厳しい注意をしながら、がっくりくる。
あなたが「正直ものすごく気分悪く」なるような注意を、している側の気持ちも最悪だということが、ナナにはわからない。

トラブルメーカー。もう職場では誰もナナとは組みたがらない。管理職も途方に暮れた。クビにするにも段取りがいる。誰にやらせるか。そのとき彼らは丁度いいすき間家具があることに気付いたわけだ。

ナナがそんなふうなのは、性格が悪いからではない。誰よりも真面目で、一生懸命だ。こうも結果が伴わないと、ナナも辛いだろう。しかし、失敗感や困り感、苦手感がない。ナナの脳機能が、そういうふうにできているからだ。





人気ブログランキング←人気ブログランキング 応援お願いします!


時々、あちらこちらのブログにお邪魔して、コメントを残してきます。
後からお返事をくださる方が多いので、楽しみにまたお訪ねして、自分のコメントと、いただいたお返事とを合わせて読みます。

4月に入ってから、自分が書いたコメントに誤入力があまりに多いのです。
投稿ボタンを押す前に読み返しているはずなのに、ミスを発見できずに掲載されてしまっている!チェック能力が著しく落ちている証拠を目の当たりにします。

それにしても…なんとなく、ミスの内容に共通点があるような気がする。特定の子音が落ちる、マウスで挿入位置をクリックして打ったはずの言葉が、3文字くらいずれて表示されている。犯人は、キーボードの隙間に隠れているらしい。

我が家にダイソンボールがやってきてから1ヶ月くらいになる。
噂どおりに騒々しいヤツだが、とにかくよく吸いこむ。これで掃除をすると、床がしっとりと足の裏に張り付くかのように滑らかになる。もう、やみつき。

私の代わりにお掃除をしてくれていたルンバ570のバッテリーがへたってきたこともあり、ルンバをお休みさせて、自分で掃除することが増えました。一度できれいになるから時間もかからず、とにかく気分爽快になれるのです。

キーボードの隙間に隠れた妖怪を退治するべく、ダイソンボールを連れてきました。強力ボタンでスイッチオン!ぐぉぉぉぉ。日曜の朝だというのに、相変わらずけたたましいヤツだ。しかし、小さな埃ひとつ残さず、吸い取ってくれる。

ほら。なんとな〜くギシギシしていたキーボードが生き返って、問題の子音もきちんと入力できるし、カーソル位置もずれないではないか!素晴らしい。

私の頭の中の妖怪も吸い取ってくれないかなぁ、ダイソン君。





人気ブログランキング←人気ブログランキング 応援お願いします!


神様は、頑張っている人のことを決してお見捨てにはならないと信じている。
脚の短いコーギー犬が大好きなのだが、このところ、朝も帰りも散歩中のコーギーさんに出会う。ふと笑えて、見ているだけで心が和む。神様、ありがとう。

バスの中で。
高校1年男子。制服の新しさからいって、ほぼ間違いあるまい。
運転席の真後ろの席に座っていた。

次のの停留所で、足元のおぼつかないおじいさんがヨッコラショっと乗ってきた。高校生は、すかさず席から飛び降りた。
「おじいさん、どうぞ!」

「あの、お兄さん!」
通路に立っている乗客をかき分けて後ろへ向かっている高校生に、おじいさんが声をかけた。

「いいんです、いいんです!」高校生はふり向かずに声だけで答えた。
「いや、お兄さん!」それでも、おじいさんは引きとめようとする。
「いいんです!いいんです!」高校生は戻らない。

「よくないですよ、お兄さん。」おじいさんは、なおも声をかける。
「いいんですってば!」高校生は他の乗客にまぎれて、もう姿が見えない。
「よくないですよ、だってこれ…お兄さん、上着、忘れてますよ。」

すかさず返ってきていた高校生の声に、ちょっとした間ができる。
「いや、やっぱりいいです!」
「よくないでしょう、だって、ケータイ入ってますよ、ほら。」

笑いをこらえていた乗客がひとり、たまりかねて吹き出した。と、もう誰もがおかしくて、バスの中に笑いがあふれた。「ヘヘ、へへへ、ありがとうございます。」
一番いい笑顔の高校生が、真っ赤になりながらおじいさんに頭を下げた。




ranktulip
←人気ブログランキングへ応援お願いします


連続更新が苦しくなったので、ちょっと気まぐれペースに戻ることにしました。
出勤時間を早くしたくて、毎朝ブログを読んだり書いたりしていた時間を減らすことにしたためです。その分、丁寧な記事を書けたらいいなと思います。



行くことになっていたはずの出張者リストからはずれていることに、当日の朝気がついた。あれれ?ちゃんと打ち合わせてあったはずなのに、どういうこと?

ふと、怠け心がつぶやく。丁度いいじゃないか、行かずに済むなら残って書類を書いてしまおうよ。その方が、先々楽だよ。

でもね、と別の何かがつぶやく。この出張は大切だよ。行った方がいいよ。

同行するはずの癸海砲伺いを立ててみる。そういう相談になっていたはずですが、私の同行は不要ですか?私はここで行っておくほうが端的に理解できて楽なのですが…。

慣例では、私のほかに行く人が決まっている出張に、私の分まで追認されることはあり得ない。だから、聞くだけ聞いたら引きさがろうと思っていた。でも、癸海療えは違った。「行ってください。」即答だった。

見ようによっては、職場のルールを無視して我を通していることになる。でも、いま、その「我」が通る。誰もが通せるわけではない。だから、ありがたい。なぜなら、私がしている努力や背負っているものの意味が理解されている証明だと思うから。

ギリギリまで自分の力でやる。自分の責任のもとで動く。最初から人に頼ったり、問題が起きたら人や環境のせいにしたりはしないのだ。ギリギリまで粘る。

もちろん、報告・連絡は怠らない。相談もする。でも、巻きこむのは、ひとりではもうダメだと思った時でいい。その姿勢が評価されているのだろうと思う。

これで、愚痴も言わなくなれたら、もっとカッコいいのだろうなと思うけれど、そうはいかないところが、私らしくて、それもいい。





ranktulip
←人気ブログランキングへ応援お願いします



昨日の朝のこと。
出勤した私を見て、職場の癸欧叫び声をあげた。
「大丈夫か?すごい顔している。火曜の朝とは思えない!」

自覚しているんです。このままでは仕事以前に生命の危機です。
まだ踏ん張れます。が、あなた方が私にさせている仕事が今どうなっているか、直接見に来てください。

癸欧鰐曚辰討Δ覆困と、すっと姿が消えた。どうやらトップに報告に行ったらしい。ありがたいと思う。3日目に入った、止まらない頭痛を抱えながら、私は仕事を始める。少しずつ、周囲が私の立場を理解始めてきたことを感じる。

フットワークが軽い管理職に恵まれるというのは、本当に幸運なことだと思う。
真っ先に、トップがやってきた。さりげないふりをして状況を視察していく。次に、癸気やってきた。こちらも、世間話のふりをして観察していく。

朝会った癸欧私の直接の相談窓口になるのだが、彼女は長い時間留まって、状況を見て行った。ようやく、何が私をこうさせているのか、実感として飲みこんだようだ。どうです?危急存亡の時でしょう?

「お忙しいのにありがとうございました。今日が一番平和な日でした。」
お礼を言うと、癸欧賄爐蠅弔い拭「あれで!?」驚いた癸欧縫丱轡鵑噺を叩かれた。励ましに揺さぶろうとして力が入りすぎたのだろう。

「はい、あれで。では、出張に行ってきます。」
私がいないところで、彼らはどんな話し合いをしただろう?
ひとりでできないなら、仲間で立ち向かう。
帰宅したら、頭痛がピタリと止まっていました。





ranktulip
←人気ブログランキングへ応援お願いします


このページのトップヘ