井坂由梨絵様
生活が落ち着かれたご様子をうかがい、安心いたしました。ご連絡うれしかったです。ありがとうございます。
講演会でお話しした通り、私自身がアルコール依存者を夫としていた経験者です。当時、かけだしの弁護士だった私が、家庭や彼を顧みず、仕事に没頭するからだろうと思い、自分を責め、彼の行動を擁護したのです。
今振り返っても、確かに私が彼を寂しくさせたことは否めません。しかし、だからといって、話しあおうともせず、酒に逃げて暴れたり借金を繰り返すことで、妻の注目を獲得しようとするのは、大人の振る舞いではありませんよね。
そういう状態の人をかばい続けるということは、その人を赤ん坊のままいさせることにほかなりません。大人は大人として生きられなければ不幸です。自分のことは自分でできるようになってこその幸せだというのが私の持論です。
井坂様同様、私も、私が傍にいては彼の自立を妨げると思いました。彼を愛していましたので、分かれるのは辛かったのですが、敢えて決断いたしました。だから、井坂様の苦衷、我がことのようにお察しいたします。
もう一度やり直しましょう。これまでの自分を責めることなく、また、未来に臆病になることなく、歩んでいただきたいと願います。アルコール依存者を引き寄せたということは、自分を大切にしていなかった証拠だと肝に銘じてください。
最後になりますが、今回の離婚裁判等で最も辛い思いをなさったのはお嬢さんだと思います。どうか、心から労わって差し上げてください。そうして、安心と温かさとが当たり前に受け取れる環境で育ててあげていただきたいと思います。
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思い出したくないことをたくさん思い出したから、今日はあとがきやめときます。